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日立・矢野氏「AI時代の働き方、“変化の許容”が肝」

R25 8/16(火) 7:00配信

人工知能(AI)をビジネスの現場で活用する動きが徐々に見えてきているが、まだまだ先のことだろう…と高をくくっている人も多いのではないだろうか。しかし、『データの見えざる手』著者で、日立製作所・研究開発グループ技師長を務める矢野和男さんは「AIによる働き方の変化を認めることが大事」と話す。

●AIにより判断はよりスピーディーに。人間に求められるのは企画力

そもそも、AIがビジネスシーンに組み込まれる意義とは、どこにあるのだろうか。

「AIは過去のあらゆるデータやエビデンスを総合的に分析し、システマティックに未知の状況に対応することができます。そのため、人間の感覚よりも事実性を持った判断が可能になるのです。これまで人が10年、20年かけて解決してきた問題が、1カ月で解けるようになるかもしれません」

その実例は記憶に新しい。東京大学医科学研究所とIBMの共同研究で、AI「ワトソン」にがんに関する論文を約2000万件学習させ、「急性骨髄性白血病」と診断された女性のがんに関係する遺伝子情報を入力したところ、わずか10分で「二次性白血病」と分析した。「二次性白血病」は診断や治療が難しい特殊なケースなのだそう。

人が長年の経験や勘をもとに行ってきた判断と比べ、AIはスピーディーかつ正確な結果を出すことが期待できるというわけだ。そして、人間の脳だけでは不可能に近かった業務の効率化が進む可能性も高いという。

「高度経済成長期は水や電気、カラーテレビなど、国民のほとんどが同じものを求めていました。しかし、50年ほどが経った今、生活や好みによって需要は多様化しています。そのすべてに人間が対応するには、時間も手間もかかりすぎる。この問題を解決できるのが、多大なデータを解析し、より早く個々に応じた結果を提示できるAIです」

日立製作所で開発された汎用的人工知能「Hitachi AI Technology/H」(以下H)は、利用する会社により設定された目的(アウトカム)のために、自ら学びながら大量のデータを分析できるシステム。“職場の活性化”を目的にすれば、職場でのコミュニケーションや時間の使い方などを通じて、幸福感を高めるアドバイスを個々人に向けて配信する。まさに、働き方や個性に合わせて対応している。臨機応変に成果を出すAIの活用例が出てくると、人間の仕事が減ってしまうような気がするが、矢野さんは「基本的に仕事は増える」と言う。

「多くの人が勘違いしがちですが、AIは人格ではありませんし、独断で物事を決めることもありません。人間がすべて設計し、価値観や判断基準も人の手で設定されるものです。そのためAIの運用はもちろん、AIを活用して新たなビジネスを生み出すといった仕事は増えていくでしょう」

経済産業省が今年4月に発表した報告書によると、AIやビッグデータ分析を活用して新たな需要を発掘・獲得した場合、2030年の雇用者数は2015年の雇用者数6334万人と比較して、161万人の減少にとどめられるという。AIなどを活用しなかった場合は、735万人も雇用者数が減少するというのだ。

また、AIは需要を把握できても、企画を練ることはできないため、新たな製品やサービスを生み出すためにも人の脳は必要になるという。矢野さんの話を総合すれば、マニュアル化した繰り返しの業務はAIに代わっていく可能性があるが、応用力や企画力はますます重宝されるというわけだ。

そして、「AIの進歩は止められないし、流れに乗ることが大事」と付け加える。

「20~30年も経つと、AIが当たり前に存在する世の中で育った世代が社会に出てきます。社会人になってからAIが登場した世代よりも柔軟な発想で、新たな活用法を見出していくでしょう。そうなった時に下の世代を抑え込まないように、そして負けないように、今のうちから積極的にAIに触れ、親しんでおくべきだと思います」

もし職場でAIが導入されたら、これまでの方法に執着するのではなく、新たな働き方を考えるべきかもしれない。前向きにAIを取り入れていくことで、将来の道が開けていきそうだ。

(有竹亮介/verb)

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(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

最終更新:8/16(火) 23:08

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