ここから本文です

【コラム 2016年注目の俳優たち】 第14回 長野里美&吉田羊 真田信幸を巡って火花を散らす二人 「真田丸」

エンタメOVO 8/16(火) 16:45配信

 豊臣秀吉(小日向文世)が亡くなり、にわかに石田三成(山本耕史)と徳川家康(内野聖陽)の対立が表面化してきた「真田丸」。だがその裏では、静かに火花を散らす女性同士の戦いも繰り広げられていた。真田信幸(大泉洋)と離縁して正室から侍女になったこう(長野里美)と、政略結婚した正室の稲(吉田羊)が、共に信幸の子を産んだからだ。

 今でこそ、真田家に欠かせない存在となったこうだが、実は開始当初、それほど重要な人物とは位置づけられていなかったようだ。演じる長野が、NHKの「スタジオパークからこんにちは」に出演した際、「最初は3月ぐらいまでの出演オファーで、その先はどうなるか分からなかった」と証言している。

 そのためか、複数の出版社から出ている番組のガイドブックでも、登場が遅かった稲よりもこうの扱いが小さい上に、番組開始時点で既に稲が“信幸の正室”と明記されているものもある。

 しゃもじすら持てなかった序盤の病弱キャラから、離縁後、侍女となってぐんぐん元気を取り戻し、遂には稲と競うように信幸の子を産むほどになるとは、視聴者だけでなく、作り手も想像していなかったのかもしれない。

 連続ドラマでは、物語が進む中で、作り手の当初の想定を越えて登場人物が活躍する場合がある。これは、1話で完結する映画にはない特徴だ。特に、大河ドラマは1年にわたって物語が展開する分、その余地は大きい。こうは、その好例と言える。

 その最大の功労者は、言うまでもなく長野だろう。大学在学中に人気劇団「第三舞台」に参加した長野は、同劇団の看板女優として活躍。1996年には、文化庁の海外研修でロンドンに1年間留学したほどの実力の持ち主。これまで積み重ねてきたそれらの実績が、第11回「祝言」で披露したコミカルな雁金(かりがね)踊りなどを生み、現在の活躍につながったに違いない。

 一方の稲を演じる吉田も舞台出身。学生時代から約10年にわたって舞台で活躍し、現在の所属事務所にスカウトされたことをきっかけに、2007年から映像作品に進出した。今やあちこちの作品で引っ張りだこの人気女優だ。

 大河ドラマは「江~姫たちの戦国~」(11)、「平清盛」(12)に出演歴があるが、長期の出演は「真田丸」が初めて。クールビューティーという言葉が似合うたたずまいを生かして、“チョウよ花よ”で大事に育てられた本多忠勝(藤岡弘、)の娘という気位の高い役を、嫌味になり過ぎない芝居で見事に演じている。素っ気ない態度で信幸を困惑させてきた稲が、こうとの関係に嫉妬してすがりつく第29回「異変」でのツンデレぶりは、自身の持ち味を逆手に取った名演だった。

 京に上ることを拒む稲をこうが説き伏せる第27回「不信」、信幸の母・薫(高畑淳子)の出自を徳川家に密告しようとする稲の行動をこうが阻止する第28回「受難」など、短いながらも印象的な共演を見せてきた2人。信幸を悩ませた2人の子の問題も、第32回「応酬」で一応の決着を見た。

 だが、関ヶ原の戦いから大坂の陣へと向かう物語と共に、真田家の運命も激変してゆく。その中で、対照的な2人の関係が、果たしてこのまま穏やかに推移するのかどうか。これからも目が離せない。

 (ライター:井上健一):映画を中心に、雑誌やムック、WEBなどでインタビュー、解説記事などを執筆。共著『現代映画用語事典』(キネマ旬報社)

最終更新:8/16(火) 16:45

エンタメOVO

記事提供社からのご案内(外部サイト)

エンタメOVO

(株)共同通信社

エンタメ界で活躍する旬のスターが続々登場。
読み応えのある記事&すてきな写真が満載!
今の時代にぴったりのエンタメサイト!

Yahoo!ニュースからのお知らせ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。