ここから本文です

技術革新の面で『ポケモンGO』がもたらした最大の功績とは?

マネーポストWEB 8/16(火) 16:00配信

 日本でリリースされてから1か月が経とうとしているスマホゲームアプリ『ポケモンGO』。これまでリリースされたどの大ヒットゲーム作よりも最速でアプリランキング1位となり、同期間での過去最多ダウンロード数を更新するなど、かつて経験したことのないほどのムーブメントを生み出している。

 このゲームがもたらした最大の功績は、人々に「拡張現実(AR~Augmented Reality System)」の世界を体験させ、認知させたことにあるだろう。「こんな世界があったのか」と思わせるには、『ポケモンGO』ほど有力なツールはなかったのではないか。

 AR自体は2009年頃からネット企業や情報技術の世界では注目されていた技術で、すでにこれまでも色々なサービスが考案されている。それが『ポケモンGO』によってようやく世間の注目を集めるようになったわけだが、過去の新技術も誕生から普及までに一定の年月を要し、また象徴的な製品が普及に貢献してきている。

 例えば、パーソナルコンピューターという概念自体は半世紀ほど前からあったが、実際には『Windows 95』の登場によって1995年より人々に広く普及しはじめた。また、モバイル、スマートフォン時代の幕開けは、2007年の「iPhone」登場がきっかけだった。当初、大手金融機関より「こんなものは売れない」などというレポートも出ていたが、フェイスブックが上場した2012年頃から本格的にスマホが普及しはじめた。その頃ようやく「モバイルを制するものはインターネット市場を制する」とも言われ出したのだ。今やモバイルはトレンドでなくなり、誰もが利用する空気のような存在となっている。

 結論として、1990年代はPCの時代(Windowsの登場)、2000年代はインターネットの時代(グーグルの登場)、2010年代はモバイルの時代(iPhoneの登場)、そして2016年の『ポケモンGO』の登場により、2020年代は「ARの時代」になって行くのではないだろうか。これら4つに共通するのは、初めて体験したときに、世界観の変わるような大きなインパクトを覚える点だ。

 ここでARとVR(バーチャルリアリティー、仮想現実)の違いを整理しておこう。VRの世界は完全に現実と遮断されたバーチャル世界で、人々にあたかもそれが目の前にあるような錯覚を起こさせるものだ。例えば目の前にパリの街並みが映し出され、後ろを向いても、前に進んでも、あたかも本当に見ているように360度映像が切り替わって行き、旅行しているような錯覚を与える。旅行気分を味わったり、ゲームに活用したりするのに適しており、2020年にはVRの市場は3兆円になると予想されている。

 一方、ARの市場規模はその頃には12兆円を超えると予想される。VRと異なり現実の世界に適応できるため、利用価値は遙かに高い。文字通り「拡張現実」であるため、実際目の前にある現実の世界がベースとなり、そこに『ポケモンGO』のように情報が重なってくる新たな世界が生まれる。

 今後、ARが普及していく際に重要になってくるのが「スマートグラス」だ。ARはスマートグラスを利用することによって、可能性をさらに大きく広げるだろう。スマートグラスの最大の長所は、両手がふさがらない点(ハンズフリー)だ。歩きながら、運転しながら、電話やLINEが飛び込んできても、前を見ながら音声やジェスチャー指示で対応することができるのだ。マイクやスピーカーも付いており、画面をグラスの上に浮かび上がらせることも可能。いわゆる「歩きスマホ」問題はなくなり、2020年代はスマホが消え、「スマグラ(スマートグラス)」に取って替わるとも言われている。

 とはいえ、ARについては、まだ黎明期で、2020年代の本格普及を見据える段階だ。今後どのような企業がこの技術を使って大化けしていくのかまでは予測しにくい。ただ、インテルのようなハードウェアメーカーから、マイクロソフト、グーグル、フェイスブックなどのネット企業、そしてSAPのようなソフト・サービス企業に到るまで、多くの大企業がこの市場を狙っており、ARブームを目指したレースは始まったばかりと言えるだろう。

文■戸松信博:グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。新刊『本気で始める人の株式投資の教科書。』(共著)他、著書多数。

最終更新:8/16(火) 16:00

マネーポストWEB

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Yahoo!ニュースからのお知らせ