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破滅シナリオ論者はなぜマスコミに出演し続けられるのか?

Wedge 8/16(火) 12:20配信

 前回、『世の中の情報には悲観的バイアスがかかっている』を記しましたが、今回はその極端な例についてです。

 評論家の中には、破滅シナリオを予言し続ける人がいます。誰が見ても変だ、と思われる超悲観論を述べ続けるのです。素人にも「本当にこの人は専門家なのか?」と思われるような人が、どうして専門家として食べていけるのでしょうか? 実は、彼等は意外と合理的な行動をとっていて、充分に食べていけるのです。筆者は、彼等の戦略を「止まった時計戦略」と呼んでいます。今回は、その戦略について考えてみましょう。

固定客をしっかり掴み、討論会でも活躍できる

 世の中には、ネクラな人、ネアカな人が一定割合でいます。そうした人々は、景気がどうであれ、「今後は悪くなる」と思いたい人は、専門家の悲観的な話を聞きたがり、「今後は良くなる」と思いたい人は、専門家の楽観的な話を聞きたがります。つまり、暗い話にも明るい話にも、常に一定程度の需要はあるのです。固定客です。

討論会のたびに呼ばれることにも

 ところが、バブル期のように景気が絶好調の時には、ほとんどの評論家(景気予測を仕事としているエコノミスト、市場予測を仕事としているマーケット・エコノミスト等々を含みます)が楽観論を唱えるので、ネクラな人は行き場がありません。彼等の需要を独占するのが悲観派の「止まった時計」(以下悲観時計と呼びます)なのです。反対に、リーマン・ショック時のように皆が悲観論を述べる時には、楽観派の「止まった時計」(以下楽観時計と呼びます)が固定客を独占することになります。

 彼等のメリットは、固定客が独占できることだけではありません。バブル期に景気討論会を開こうとすると、評論家が楽観派ばかりなので、討論にならないのです。そこで、悲観時計が討論会のたびに呼ばれることになり、出演料を稼いだ上に名前も有名になります。リーマン・ショック時の楽観時計も同様です。

 今一つ、メリットがあります。「止まった時計は1日2回正しい時を指す」というわけで、景気はいつかは必ず悪くなったり良くなったりします。その時に時計たちは「景気は、私が何年も前から正しく予想していた通りになりました」と勝ち誇った顔をすれば良いのです。経済初心者の中には尊敬してくれる人も出てくるでしょうし、「固定客」が「信者」になってくれるかも知れませんよ(笑)。

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最終更新:8/16(火) 12:20

Wedge

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