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4分裂が進む米社会、大統領選で亀裂が具現化

JBpress 8/16(火) 6:15配信

■ ヒラリー当選の確率は89.2%に

 まだ大統領選投票日まで150日あるというのに、米国内には「史上初の女性大統領」を想定内のこととして受け止める空気が広がっている。

「Why Bernie Sanders Matter」の書影

 過去の大統領選結果を的中させてきた選挙専門メディア「ファイブ・サーティ・エイト」(Five Thirty Eight)のネイト・シルバー氏は、8月12日段階で、ヒラリー・クリントン氏が大統領になる確率は89.2%との予想を打ち出した。

 選挙人数548人中369.3人を獲得し圧勝するというのだ。

 「史上初の女性大統領」を誕生させる米国にとって今回の大統領選はどのような意味を持つのだろうか。

 米主要シンクタンクの上級研究員の1人は筆者に興味深いコメントをしてくれた。「2016年の大統領選は、『分裂国家』を象徴する、三つ巴ならぬ四つ巴の内戦だった」と。

 同研究員によれば、「四つ巴」とはこういうことだった。

 民主党サイドでは――。

 1.クリントン氏が主張するバラク・オバマ政権の継続と安定を求める党内エスタブリッシュメント(既成権益勢力)+オバマ路線を継承したいリベラル中道勢力。

 2.1930年代の伝統的な民主党のリベラル路線への回帰を目指すリベラル改革派勢力+ミレニアム世代の理想主義的リベラリル勢力。バーニー・サンダース上院議員を支持し続けた原動力だ。

 それがクリントンvsサンダースの対決構図だった。

 共和党サイドでは――。

 3.ホワイトハウス奪還を目指す共和党党内エスタブリッシュメント+東部白人エリート保守派勢力。

 4.共和党を支配するエスタブリッシュメントに反発する南部、中西部を中心とした保守層+低所得・低学歴の白人草の根保守派勢力。

 それがトランプvsエスタブリッシュメント候補者たちの対決構図だった。

 興味深いのは、「サンダース支持層」と「トランプ支持層」には反エスタブリッシュメントという共通項があることだ。ともにエスタブリッシュメントに不満を持ち、現状打破を望んでいた点だ。

 億万長者、贅沢三昧のトランプ氏はエスタブリッシュメントのはずだ。が、不動産業者、カジノ経営者、いわゆる「ウォールストリート」的エスタブリッシュメント本流ではないことで、支持者は同氏を「体制派」とは見なさない。その辺が面白い。

 前回、「トランプ氏を支持する米有権者」の声を代弁した2冊の本を紹介した。

■ サンダース支持者の6%はトランプに投票か

 今回は、予備選でサンダース氏を支持した有権者に目を向けてみたい。この人たちは本選挙でクリントン氏に投票するのだろうか。

 前述の「ファイブ・サーティ・エイト」が各種世論調査結果を基に分析したところによると、サンダース支持層で11月8日にクリントン氏に1票を投ずるのは3分の2だという。つまり3分の1はクリントン氏以外に入れるというのだ。

 さすがにトランプ氏に票を入れるというものは少ないようだ。

 たとえ反エスタブリッシュメントで共通項があったとはいえ、一応、保守主義者(共和党主流派の中には「トランプ氏は共和党でもなければ、保守主義者でもない」と言い切る者もいるくらいだが)のトランプ氏にリベラル派が票を入れるのは気が引けるのだろう。

 リバタリアン党のゲリー・ジョンソン候補や「緑の党」のジル・スタイン候補に入れる者もいる。

 それでもCNNやフォックス・ニュースなど各種世論調査ではサンダース支持者のうち平均値6%がトランプ氏に投票すると答えている。

 「トランプ氏に入れるサンダース支持者は『ヒラリーを蛇蝎(だかつ)のごとく嫌っている者』に限られる。どうせヒラリーが勝つならいっそのことトランプに入れるという、やけっぱちリベラル派がいてもおかしくはない。

 大統領選挙は政治哲学や政策よりも候補者が好きか嫌いかで投票する人もいるからだ。ミレニアム世代の中には意外と多いのではないだろうか」(米大手紙政治記者)

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最終更新:8/16(火) 6:15

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