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小売り冬の時代に突入、米国からモールが消える

JBpress 8/16(火) 6:10配信

 1つの時代が終わりを告げたということなのか。

 米大手百貨店「メイシーズ」は8月11日、今後1年ほどで米国内の100店舗を閉鎖すると発表した。メイシーズと言えば米百貨店の代名詞的な存在で、ニューヨーク市マンハッタンにある店舗はいまでも全米最大の売り場面積を誇る。

 160年近い歴史を持つメイシーズは、世界中の百貨店に影響を与えてきたが、一度に100店舗も閉めるとのニュースに、消費者からは「メイシーズは終わりなのか」との声が出ている。

 無理もない。100店舗である。日本百貨店協会に加盟している日本の百貨店総数は今春の数字で224店舗。最も多くの店舗を持つ高島屋でさえ海外店を含めて20数店舗である。

■ 限界に近づいた百貨店経営

 一方、メイシーズの店舗数は現在728。アウトレット店なども含めると880店舗近くになる。日本の百貨店と単純比較はできないが、それでも100店舗の同時閉鎖は過去最大である。

 主因はすでに読者の方の想像される通り、インターネットの影響である。

 小売業界の売り上げの比重はインターネット販売に移行して久しく、肯定的な見方をすれば、今回の発表は路面店からの脱皮の一環と受け取れる。一方、悲観的な見地に立つと、従来型の百貨店経営の限界がきているとも言える。実際はどうなのか。

 メイシーズは過去数年、段階的にダウンサイジングを実施している。この2年間だけでも、2014年1月にはカンザス州、アリゾナ州を含む5州5店舗を閉鎖すると同時に、人員2500人を削減。それにより約1億ドル(約100億円)のコスト削減を行った。

 さらに2015年9月には最大50店舗を閉鎖すると発表。過去6年間の閉鎖数は90店舗に達した。こうした流れを考慮すると、100店舗の同時閉鎖は「もう1つの大波」と呼べなくもない。

 企業としては、路面店での減収に見舞われてもインターネット販売が増え、全体の収益が増えれば大きな問題はないはずである。しかし消費者行動に変化が生まれ、ネット上であってもメイシーズのような旧来型の百貨店での買い物を控えるようになってきている。

 メイシーズの強みはこれまで、それぞれの地域で地元に密着した百貨店のあり方を探り続けた点だった。米高級百貨店サックス・フィフス・アベニューなどとは一線を画して中流層をターゲットに、店舗に足を運んでこそ手に取れる商品を提供してきた。

 地域ごとにマーケティング・リサーチをしてサイズや色、ブランドなどを変えていた。69都市では、それぞれの商品開発担当者が独自に商品を決め、画一化されがちな通販との差別化を図っていた。

■ ポケモンGOの先を行ったが・・・

 さらに店舗内でスマートフォンによるAR(拡張現実)という技術を利用したアプリ「ビリーブ・オー・マジック」を使うことで、実際には見えないキャラクラーが店内にいるようなサービスも提供した。同アプリは話題の「ポケモンGO」が登場する以前のものだ。

 そうした努力により売り上げが伸び、株価も2015年は60ドルを記録したが、今年に入ってからは40ドルを下回るようになった。何かが崩れてきていた。

 今年の大統領選でも争点になっている「中流層の瓦解」がメイシーズにも重くのしかかっていた。実質所得は伸びず、これまでメイシーズで買い物をしていた客が単価の低いH&MやZARAなどのブランドに流れるようになった。

 社会格差の広がりによって消費者の2極化が鮮明になり、中流から富裕層に移行した消費者はメイシーズを去って高級店に行き、経済的に苦しくなった中流層が安価な店舗で買い物をするようになったのだ。

 そしてインターネット販売がついに路面店を超える段階に到達した。

 米貨物運送会社「ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)」が実施した調査によると、今年初めてインターネット販売の規模が路面店でのそれを上回った。

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最終更新:8/16(火) 6:10

JBpress

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