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’17年のOECD開示でオフショアはどう動くのか? また、仮想通貨は?

HARBOR BUSINESS Online 8/16(火) 9:10配信

◆OECD開示もオフショアには影響なし

‘16年4月4日、租税回避地(タックスヘイブン)を利用した所得隠しの実態を暴いた“今世紀最大級の金融スキャンダル”「パナマ文書」が公表され、世界を震撼させたことは記憶に新しい。この報道を受けて、’17年からOECD(経済協力開発機構)を中心とした世界100か国で銀行口座の情報開示をおこない、税逃れへの取り締まりを強化する考えを表わした。世界が動き出したことによって、今後、節税対策としてのオフショアはできなくなるのだろうか?

「それはありえない」

 そう断言するのは「闇株新聞」発行人A氏だ。

「ケイマン諸島など租税回避地にとっては、情報開示する理由はなく、今回問題になったパナマやリベリアは便宜置籍船国なので日本など世界中の船会社や商社の子会社があるが、これを税金逃れとは言わない」

 リークされたこの文書一つでアイスランド首相が辞任し、キャメロン英首相は窮地に追いやられ、中国では検閲対象になるほどの影響を見せているが、A氏は大騒ぎするほどの事件ではないと考える。

◆文書公開はオフショア同士の勢力争い

「そもそも、本気で所得隠しをしようとしているのであれば、名目上の経営者や業務執行者、株主まで用意した上でオフショアカンパニーを複数通すはず。なかにはソフトバンク・孫正義氏や楽天・三木谷浩史氏の名前も出ていましたが、所得隠しの証拠となるはずの銀行間の取引履歴や送金指示書はまったく出てきていません。追跡調査もなしに単に名前を見つけて大騒ぎしているだけで、本当の税金逃れだったのかもわからない」

 では一体、何のために文書をリークしたのか。

「世界のオフショアマネーを米国に取り込もうという魂胆なんだと思いますよ。パナマ文書には、英国領バージン諸島のオフショアカンパニーの名前が数多く公開されていますが、米国のネバダ州、デラウェア州、ユタ州、ワイオミング州などの情報がまったく出てこない。OECDが世界の口座情報の共有システムの構築を進めていますが、OECD加盟国が軒並み参加を表明するなか、米国は協力しない意向を示しているんです。オフショア同士の勢力争いのようなものでしょう」

◆仮想通貨詐欺も急増。今後の展開はどうなる

 ところで仮想通貨についてはどう考えるのか? パナマ文書が公表されたことで、新たなタックスヘイブンとして仮想通貨を購入する人々もいた。仮想通貨はオフショアカンパニーから現金を引き出したり、投資に使われやすいが、基本的に不安定性が高い代物だ。

「以前話題となった世界最大の闇サイト『シルクロード2.0』では、殺人、麻薬取引、犯罪性資金の決済にビットコインが用いられていました。単にシステム上にしか存在していないため、いつ消えてしまうかもしれないシロモノであることは変わらない」

 三菱東京UFJ銀行が導入を予定している「MUFGコイン」については、「よく誤解されているようですが、それは仮想通貨ではなく決済通貨ですね。1コイン=1円で固定されたもので投資商品ではなく利用者同士の清算や送金に使うためのものです。イメージとしては、Suicaなどの電子マネーに近い感覚のものでしょう。そもそもこの動きには銀行の大規模な勘定・決済システムを使わずに、小口の取引を低コストのシステムで管理しようという意図があります。どう考えてもアングラマネーの受け入れや犯罪性のある取引の決済には使えないため、爆発的に拡大することもなさそうです」という。

 このような不安が錯綜する背景には、仮想通貨詐欺が昨今、急増している事情がある。香港の仮想通貨取引所「Gatecoin」ではサイバー攻撃により、200万ドル(約2億1762万円)相当のトークンを損失、台湾では30万ドル(約3264万円)相当のビットコイン詐欺を行った男が逮捕された。日本でもオレオレ詐欺の一種だが、岐阜県の70代女性が仮想通貨の購入持ちかけで1億1千万円騙し取られた事件もある。

 世界的に爆発的人気を呼んでいる「ポケモンGO」内の仮想通貨「ポケコイン」を対象にした詐欺サイトもすでに乱立しているという。

【闇株新聞】

’10年に創刊。大手証券で企業再生などに携わった経験を生かして記事をアップし続けるWebメディア。金融関係者などか注目を集める

<取材・文/HBO編集部>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/16(火) 9:10

HARBOR BUSINESS Online

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。