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重大航空事故に遭遇する確率は? 最新統計ではわずか468万分の1!

CREA WEB 2016/8/16(火) 12:01配信

1990年代後半から急速に死亡事故の件数が減少

 先日、エミレーツ航空がドバイで着陸に失敗しました。こうした事故が起こるたびに、大きく報道され、「飛行機はコワイ、危険だ」というイメージが植えつけられがちです。

 しかし、映像としてはインパクトがあったエミレーツ航空の事故も、乗客の犠牲者はありませんでした。そこで、実際に飛行機事故に遭遇して命を落とす可能性はどのくらいなのか、検証してみたいと思います。

 オランダの航空機事故についての調査機関「Aviation Safety Network」によれば、2015年に起きた航空機事故は560件。しかし、死亡事故となったのは16件にすぎません。

 これは485万7000回に1件の確率です。1日1回飛行機に乗ったと仮定して、1万306年に1回起きるくらいの可能性です。

 死亡事故といっても、つねにすべての乗客が犠牲になるわけではないので、実際の確率はもっと低くなります。さらにこうした死亡事故のなかには、整備も含めて、安全性への対策がおろそかになっている第三世界のエアラインが占める割合は少なくないので、こうしたエアラインを利用しない場合も、確率は低くなります。

 報道をみていると、航空事故は頻繁に起きているイメージがありますが、実際のところ、事故の発生頻度の推移はどうなっているのでしょうか。

 次のグラフは戦後の民間航空機の死亡事故の発生件数をグラフにしたものです。

 これをみると、全体的に減少傾向にあること、しかも1990年代後半から急速に死亡事故の件数が減少していることがわかります。

 しかし、これはあくまで発生件数です。件数よりも、実際にどのくらいの人が亡くなったのかが重要なのでは?  と考える人もいると思います。

ハイテク機が増え、ヒューマンエラーによる重大事故が減った

 そこで、今度は民間航空機の事故による、年間死亡者数の推移のグラフをみてみます。

 このグラフをみると、戦後、1960年代から1990年代半ばにかけてピークをむかえ、その後減少傾向にあることが読みとれます。これには1960年代以降、航空機が大型化し、1回の事故あたりの犠牲者数が増えたことも影響していると考えられます。それは次のグラフからも読みとれます。

 しかし、こうした確率を考えるうえで分母となる、民間航空の利用者数の変化についても見てみなければなりません。

 下のグラフの青い線が、1970年以降の利用客数の推移です。これをみると、1996年から2012年にかけて、飛行機を利用する人の数がほぼ2倍になったことがわかります。それにもかかわらず死亡事故はほぼ3分の1に減っている。つまり、確率としてはほぼ6分の1に減少したことを意味しています。

 航空機の事故が減った原因の一つとして、ハイテク機が増え、ヒューマンエラーによる重大事故が減ったことが挙げられます。

 これまでとりあげたデータからも分かるように、飛行機の安全性はきわめて高く、また、その安全性は近年かつてないほどに高まっています。

 それにもかかわらず、人は飛行機を必要以上におそれることがあります。たとえば2001年9月11日のテロの後、アメリカでは、飛行機に乗ることをおそれ、自動車で長距離を移動する人が増えました。

 その結果、2001年10月から12月にかけて、自動車事故での犠牲者は前年比で約1000人増加したそうです。

 いったん航空事故になれば、一度に多くの人命が損なわれます。しかし、自分ひとりにふりかかるリスクという意味では、自分ひとりだけが犠牲になろうが、同時に多くの人が犠牲になろうが等価です。本当に安全な選択肢は何なのか、メディアなどによるバイアスを受けることなく、冷静に判断したいものです。

Aviation Safety Network
URL https://aviation-safety.net/

Airline Safety Ranking 2016
URL http://www.jacdec.de/airline-safety-ranking-2016/

橋賀秀紀(はしが ひでき)
トラべルジャーナリスト。筑波学院大学非常勤講師。東京都生まれ。著書は『エアライン戦争』(宝島社)など。海外渡航歴は200回以上。執筆、講演の依頼、内容の問い合わせは、CREA WEB編集室まで。

橋賀秀紀

最終更新:2016/8/16(火) 12:01

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