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中国株が高値更新 海外投資家は景気悪化を意識せず?

マネーポストWEB 8/17(水) 17:00配信

 7月の中国経済は減速傾向が強まった。鉱工業生産、固定資産投資、小売売上高、輸入の伸び率は、いずれも前月を下回り、予想を下振れした。輸出は減少幅こそ縮まったが、予想には届かなかった。

 中でも、とりわけ、経済の足を引っ張ったのは固定資産投資である。7月累計の固定資産投資は8.1%増で、前月累計と比べ0.9ポイント悪化、市場コンセンサスと比べ0.8ポイント下振れした。

 こうした厳しい経済情勢にもかかわらず、上海総合指数は8月15日、2.4%上昇、終値ベースで3125.20ポイントを付けており、4月13日に付けた高値3097.16ポイントをブレイクアウトしてきた。ちなみに、7月最終取引日となった29日の終値は2979.34ポイントで、15日の終値は4.9%高い水準にある。

 香港ハンセン指数も同様に強い相場となっている。8月15日の終値は前営業日比0.7%高の22932.51で、年初来高値を連日更新している。8月に入ってからの上昇率は4.8%に達している。

 本土投資家、香港市場における主要投資家である欧米機関投資家は、足元の景気悪化をさほど意識していないといえよう。

 そうした要因として、まず考えられるのは、各地の洪水の影響が深刻であり、また、一部の地域で高温酷暑となったことが挙げられる。民生部の発表によれば、全国で6000万人以上が被害に遭っており、直接的な経済損失は2000億元に達している。景気減速について、特殊要因があり、その分を差し引いて考える必要がある。

 また、統計の細かいところをみると、悪い中でも評価できる点がある。

 たとえば、サービス業、ハイテク産業の生産は増勢が続いている。投資では、エネルギー多消費産業の投資額は軒並み減少しているのに対して、ハイテク産業の投資の伸びは加速している。経済構造調整と経済のレベルアップが進んでいる。

 さらに、新産業の成長が加速している。純電気自動車(EV)などの新エネルギー自動車の生産、ネットショッピング売上は高い伸び率となっている。

 政府が力を入れている供給側改革では進展がみられる。石炭生産量、粗鋼生産量は減少しており、不動産在庫面積は5か月連続で下落している。6月末時点の一定規模以上工業企業の資産負債比率は56.6%で、前年同期比で0.6ポイント下がっている。供給側改革が進展しているから景気が減速しているのだといった見方もできよう。

 上海総合指数は少し長い期間を見れば、まだ、出遅れ感がある。NYダウが過去最高値更新ペースであるのに対して、上海総合指数は年初来高値に達しないばかりか、昨年6月12日の高値5178.19ポイントと比べると、39.6%安い水準にある。

 需給要因として、深セン・香港・ストックコネクト(※)の開始発表が間近にせまっている。深センA株に対して買い材料となるのは当然だが、市場に資金が入ることで循環物色が進む。結果的には上海A株に対しても、好材料といえよう。

【※深セン・香港両市場間の相互取引。海外個人投資家は、これまでQFII(適格海外機関投資家)に限られていた深セン市場への投資が香港経由で可能となる。上海・香港間の相互取引は2014年に導入済み】

 今後の上海総合指数は、年初来高値近辺の3500ポイントあたりを目標として、上昇トレンドを形成する可能性が高いと予想する。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週間中国株投資戦略レポート」も展開中。

最終更新:8/17(水) 17:00

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