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回転すればあなたもアートに!? しりあがり寿ワールドへようこそ!

Casa BRUTUS.com 8/17(水) 8:00配信

回転するものは美術になり得るか? そんな現代美術の命題に挑む(?)のが本展だ。見ていると自分も回りたくなってくる不思議な展覧会を動画でレポートします。

マルセル・デュシャンの作品に《自転車の車輪》というものがある。椅子の上に自転車の車輪を載せたオブジェだ。後に既存のものを組み合わせた「レディメイド」というジャンルの先駆けとなったエポックメイキングな作品だが、デュシャンは当初、美術の一大ムーブメントを作ろう、などとは思わず、暇なときに車輪を回しては壁に影を映して楽しんでいたのだそう。回転は現代美術における重要なファクターといえるかもしれない。ちなみにこの作品は東京都美術館で9月22日まで開催中の『ポンピドゥー・センター傑作展』で展示されている。

しりあがり寿がデュシャンのこの作品を意識したかどうかはわからないが、いろんなものが回転しているのが今回の個展だ。展示室に入る前、ロビーですでに巨大な赤いネジが回転している。回っていても床に潜ってはいかず、抜けもしない奇妙なネジだ。

1階の展示室は回転しないセクション。しりあがり寿のこれまでの漫画の原画や、近年手がけている巨大な墨絵が並ぶ。短編や4コマ漫画などはちゃんとオチがついているので会場で普通に読んでしまう。美術館の展示なので、シュールで笑える漫画の傍に美術史の教科書みたいな真面目なキャプション(説明)がついていて、そのギャップがまたしりあがりの世界をよく現している。

2階では葛飾北斎などが登場するアニメーション「ゆるめ~しょん」に続いて、いよいよ本格的な「回転」が始まる。まずは床に置かれた金色に輝くヤカンが回転しているのを鑑賞しよう。ヤカンは回転したり止まったりしている。ヤカンの上に電光掲示板があり、止まっているときは「このヤカンは回転しているときだけ芸術になります」と表示される。回っているときは「芸術」と表示される。回転すると芸術だが、回転していなければただのヤカンだ。芸術とはそのようなものであるらしい。

隣の部屋は画家のアトリエの再現だが、壁にかかっているたくさんの絵も、画家のイーゼルもデッサン用の石膏像も画材も、何もかもが回っている。絵は回ってない方が見やすいのになあ、と思うがそれは仕方ない。イーゼルに置かれた石膏デッサンは美大や芸大の課題で描かれたような本格的なもの。そのギャップも面白い。

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最終更新:8/17(水) 8:00

Casa BRUTUS.com

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