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映画『ゴーストバスターズ』:オール女性キャストによるリブート映画

ローリングストーン日本版 8/17(水) 12:30配信

怒れる映画オタクたちよ、括目せよ。女性たちはこのリブート作品で最善の行動をとったのだ。

【予告編はこちら】映画『ゴーストバスターズ』:オール女性キャストによるリブート映画

大成功でもなければ大失敗でもない。女性キャラクターによるリブート版『ゴーストバスターズ』は、素晴らしく楽しい時間となった。同作のキャストが発表されてから今に至るまで、ネット荒らしたちはメリッサ・マッカーシー、クリステン・ウィグ、ケイト・マッキノン、そしてレスリー・ジョーンズのことを罵倒し続けてきた。あるろくでなしは、こんなことをツイートしていた。「新しい『ゴーストバスターズ』ではプロトンパックは使わないらしいよ。女たちは幽霊がいなくなるまで、やつらに向かってギャーギャー文句を言うだけだから」。ヒラリー・クリントンが抗エストロゲン剤で痩せたら、先に挙げた4人の女性と同じくらいに嫌われるだろうか? やはり嫌われるのだろう。

この抑えきれない戯言を罵倒することは、銃殺隊と向かい合ってマシュマロ(マシュマロマンを想像して)を作るようなものだ。映画オタクたちは態度を和らげて欲しい。この根性ある女性たちは、メインキャラの性別が入れ替わった『ゴーストバスターズ』が成功させるための最高のキャストなのだから。彼女たちは、ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、リック・モラニス、アーニー・ハドソン、そして故ハロルド・ライミスの出演した1984年のオリジナル版を冒涜するために出演しているわけではないし、さらに言えば、オリジナル版の4人は1989年に公開された『ゴーストバスターズ2』で前作を台無しにした。どちらかといえば、ポール・フェイグ監督と共同脚本家のケイティー・ディポールドは、オリジナル版に対して過剰なまでの尊敬の念を示しているし、パッとしないカメオシーンのために前作のキャストの大部分を登場させ、かつて起こった出来事を詳細に説明してストーリーを築き上げている。

--{物語のあらすじはこちら}--

マッカーシー演じるアビー・イェーツとウィグの演じるエリン・ギルバートは、ともにニューヨークに暮らす研究者だ。彼女たちは、科学の力を使って幽霊の存在を証明しようとして周囲からの支持と信用を失ってしまう。知的ではあるが、セクシーという基準には当てはまらない独立した女性である彼女らを、ハリウッド映画における孤独なはみ出し者として書き流すことは簡単だ。いくらフェイグ監督が、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』『デンジャラス・バディ』『SPY/スパイ』のような素晴らしい女性中心のヒット作でその名を知られているからといって、彼に対する性差による誹謗中傷もいい加減にしてほしい。

物語のあらすじは次のようなものだ。超常現象によって消し去ってしまいたいような秘密の過去がバレてしまい、人間関係に亀裂が生じたエリンは、アビーとメカオタクで映画『007』に登場するQも嫉妬しそうなクールなガジェット発明家ホルツマン(ケイト・マッキノン)とチームを組む。その後、中華料理屋の2階にあるみすぼらしい彼女たちの本部にパティ・トーランが新たに加わる。彼女は地下鉄職員だったが、線路の轍の上にいたゴーストによって職をおびやかされ、ゴーストバスターズのメンバーとなる。どんな状況でも絶好調な、映画『マイティ・ソー』のソー役で知られるクリス・ヘムズワースは、イケメンだが頭が悪くて仕事が全くできない受付係のケヴィンを演じる(エリンだけは彼のたくましい腹筋に関心を持っているようだ)。本作には、そんな軽い女のジョークが驚くほど多く詰め込まれている。

--{この4人は見るべき価値のある女優}--

登場人物のバックグラウンド・ストーリーに過剰なほどに無駄な時間を費やした後、やっと幽霊退治が始まる。それからしばらくの間、4人は霊柩車を改造したエクト1(ゴースト退治専用車)を乗り回して騒ぎ、やがてロック・コンサート会場を舞い狂う飛竜のような幽霊を捕まえる。いじめに遭った男(ニール・ケイシー)が超常現象を用いて残酷な世界に復讐するというサブプロットは、あまりにも普通過ぎる。そして明らかに新しいテクノロジーの神業に夢中になっているフェイグ監督は、VFX(Visual Effects・映像効果)にペダルを傾け過ぎている。ストーリーの終盤3分の1は、デジタル情報でめまいがするようなシーンばかりで、メガピクセルのせいでキャラクターをほとんど見ることができない。これは残念だ。なぜなら見るべき価値があるのは、脚本の中のデッドスポットをかいくぐることができる才能ある女優たちなのだ。マッカーシーとウィグは、以前演じた役柄のパラメーターの範囲内であったとしても、それでもやはり素晴らしい仕事をする。そしてサタデー・ナイト・ライブを見た人なら、ジョーンズがいかに独特のスタイルと立ち振る舞いで大きな笑いを取っているか知っているだろう。

マッキノンは驚くべきことに、サタデー・ナイト・ライブでMVPも獲得している(彼女のヒラリーのモノマネは以前から有名だ)。彼女はエネルギッシュで、あらゆる身振りやリアクション、行間を読む能力も新鮮で突拍子が無く、浮かれ騒ぐ地獄の炎が自然発生しているかのようだ。彼女がプロトンパックでベトベトした悪霊の塊を狙い、「照らして!」と大声で叫ぶときの表情には特殊効果はない。彼女は間違いなくこの起伏のあるリブート作品を輝かしいものにし、作品中でエリンが「女たちは幽霊を捕まえないだろう」というインターネット上の中傷を読んだときにも、実際にその中傷を認めている。賭けてみようか? スライムのようにベタベタした幽霊退治に欠けているものは、CGのギミックに頼り過ぎたこととテンポだけで、女優たちには何の落ち度もない。マッチョな男が大騒ぎするこの夏に、彼女たちは間違いなくものすごく士気を高める方法を知っている。

『ゴーストバスターズ』 ★★½
監督/ポール・フェイグ
出演/メリッサ・マッカーシー、クリステン・ウィグ、ケイト・マッキノン、レスリー・ジョーンズ、クリス・ヘムズワース
2016年08月19日(金)公開
http://www.ghostbusters.jp/

Translation by Yuka Ueki

Peter Travers

最終更新:8/17(水) 12:40

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