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「どうせあなたも『ポケモンGO』で遊んでるんでしょ?」 スマホ=暇つぶしという考え方の残念なところ

BEST TIMES 8/18(木) 6:00配信

「ポケモンGO」ユーザーの増加に伴い、客の要望にいちいち応えられなくなったのか、東京から徐々に消えていく「電源カフェ(電子機器を充電しながら長居のできる喫茶店)」の存在。しかしアメリカ、ことニューヨークでは、客の電子機器を充電することにかなり寛容だといいます。

スマホ使用に対する冷笑が、切り捨てようとしている“何か”

 かつて電源カフェとして重宝していた駅ビルの喫茶店がいつの間にか営業方針を変え、スマホの充電を断られてしまった。接客係は、「どうせあなたも一昨日出たばかりの『ポケモンGO』で遊んでたんでしょ?」という顔で苦笑いする。実際そう言われたわけではないが、彼女がリリースから数日、似たような客の頼みを同じように断ってきたこと、その滑稽さに内心うんざりしていることは、表情から窺い知れた。



 私が普段住んでいるニューヨークシティの飲食店では、テーブルに着いて注文してから「ごめーん、これちょっとおねがーい」とスマホを渡すと、「いいよー、帰るとき忘れないでねー」と店員が受け取って厨房へ消え、どこだかの業務用コンセントにブッ挿して食事中に充電しておいてくれることが、結構ある。

  あまりにも気安く応じられるため、サービス水準の高い店以外では、むしろ渡すのが不安になるくらいである。アメリカの店員は完全にお金で動くので、会計のときチップさえ弾めば大概の無理は聞いてくれるが、代わりにこの超安請け合いも「店」ではなく「俺」個人の判断であって、たとえば厨房で充電中のスマホをうっかり水没させられた場合などを想像すると、なかなか厄介である。
 日本の飲食店が同じことを受け付けないのは、個人情報がみっしり詰まった客の端末を預かってリスクを負い責任を問われたくないからだ。大事な商談を控えている人にも、生きるか死ぬかの連絡を待っている人にも、朝から「ポケモンGO」で遊んでた人にも、誰にも充電はさせません。昔はレジ横に公衆電話を置いていたけど、今はそれもないので、各自きちんとモバイルバッテリーを持参してコーヒーを飲みに来てね。それはそれで、正しい理屈である。



 画期的な新技術、世界を変える新概念は、端末の進化や文化の発展とともに、登場からほんの数年で「遊びでしょ?」扱いを受けるようになる。かつて街中で電話やポケベルを携帯し、最先端の通信技術の恩恵を受けていたのは多忙なビジネスマンだけだった。たった数年でそれは女子高生のためのオモチャになった。インターネットは広大な情報の海、人類の知的生産を向上させる大発明だと教わった。こちらも今となっては生活に欠かせないツールだが、飛び交う情報の大半はいつの間にか、「暇つぶし」に変わってしまった。
 スマホをいじっていて「どうせ、遊んでるんでしょ?」と冷笑を浴びせられるのは、今に始まった話ではない。たしかに遊んでる、遊びまくってる、だけど、勉強や仕事もしてるよね。暇つぶし以外にも役立ってる。職場にデスクを持つ勤め人にはわからないかもしれないが、「好きな場所で働ける」ことがどれだけの人生を明るく変えたことか。
 世の中全体が「どうせ、すべては遊びでしょ?」と軽んじるようになったとき、我々人類にとって極めて大切な何かまで一緒に切り捨てられてしまうのではないか!  とまで鼻息荒くトンデモ精神論をぶつ気はないが、かつて公衆電話が私たちの暮らしを支えていたように、公衆の利益という観点から、社会全体で無駄な電力消費を抑え、不足ない電力供給を……何も「ポケモンGO」のためだけでなく……。と、今まで街中の電源カフェに頼りきりだった私は、この世相の変化に対して気弱に物申したくもなる。



 これまたニューヨークの話になるが、使われなくなった公衆電話回線が「LinkNYC」という市営の無料Wi-Fiに生まれ変わり、かつて公衆電話ボックスだったところへ続々とサービス・キオスクが建てられている。このキオスクには警察や救急などの緊急呼出ボタンがついていて、地図検索も可能、そして、そう、USB接続で充電可能なスポットにもなっている。
 東京にもそんな小粋な設備があれば、喫茶店へはおいしいコーヒーを飲みに、充電したけりゃ別のところへ、という棲み分けができて、客も店も双方ハッピーになれるかもしれない。……いや、もちろん、円滑なポケモン探しのためばかりではなく。 

文/岡田 育

最終更新:8/18(木) 6:00

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情を揺さぶれたらいいな、と思います。