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瀬戸内国際芸術祭2016「夏会期」新作レポート!

Casa BRUTUS.com 8/18(木) 8:00配信

瀬戸内の夏をアートで楽しむ『瀬戸内国際芸術祭 2016』がいよいよ開幕しました。そこで、夏会期の新作の中で注目を紹介します!

第3回になる瀬戸内国際芸術祭 2016、夏会期がいよいよオープン。直島、豊島など7つの島と高松・宇野港周辺に、夏会期に向けて新しく登場した17作品を含む148作品が公開されている。

今回の特徴はアジアのアートをたっぷりと楽しめること。タイ、韓国、台湾など各国の香り漂うアートが登場した。女木島の《西浦の塔(OKタワー)》はその一つ、タイのナウィン・ラワンチャイクン+ナウィン・プロダクションの作品。上まで登ると海が見渡せる展望台になっているのだが、側面にはタイの古い映画看板ふうの絵が描かれている。これは塔がある西浦地区に住むお年寄りや制作に関わったナウィン・プロダクションの人たち。結婚式や子供など、島の人たちの思い出の写真をもとにしたものもある。塔に登ると人の声が聞こえてくる。ナウィンが地区の人々に「あなたにとってOKって何ですか?」と聞いた、その答えが流れてくるのだ。

日本の他の地方と同様、女木島のこの地区も過疎化、高齢化に悩んでいる。

「私はアーティストだから、この村に残ってお年寄りたちの手伝いをすることはできません。でも記憶を残し、希望を感じられる作品をつくることができる。アーティストは一人で仕事をするイメージがあるけれど、私はコミュニティの人々といっしょにこの作品を作りました。OKは世界中どこでも通じる言葉。現代美術は難しいと思われているけれど、この作品ならみんなわかってもらえると思います」(ナウィン)

小豆島の海岸に現れた、砂でできた子供たちは台湾のリン・シュンロン(林舜龍)の《国境を越えて・潮》という作品だ。像は全部で196体ある。シリア難民の子供がトルコの海岸に遺体となって打ち上げられた悲しいニュースが、この作品のもとになっている。

「私にも同じ年の男の子がいるからショックだった。みんな同じ美しい生命なのに、戦争の犠牲になってしまう子供たちがいる」

子供の像は波や雨、鳥につつかれたりしてだんだんと崩れていく。像は約3か月で崩れていく予定だそう。でも台風が来て一晩で全部崩れてしまってもいいのだ、とリンは言う。砂の部分がなくなると中から、像を支えている鉄の棒と白いバラが現れる。鉄の棒には196カ国の国の名前が書かれている。

「全部崩れると、それぞれの国のお墓ができるんです。消えてしまった子供たちは海というお母さんの子宮に戻って、愛を世界に広げる」

196体の子供の像は日本政府が公認している国の数を現している。でも、国によって公認している国の数は違う。

「言葉が通じなくても子供たちは一緒に遊ぶ。大人はもともと子供だったのに、なぜ変わってしまって壁を作ってしまうのか。私は8年間フランスに住んでいて、ドイツとフランスの国境近くに住んでいる友だちがいた。彼の村はあるときはフランス、あるときはドイツだった。そんなのめんどくさいでしょ(笑)」

台湾で生まれ、日本とフランスで学んだ彼の言葉には説得力がある。

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最終更新:8/18(木) 8:00

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