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伊調馨の目にも涙。姉も案じた「4連覇・年齢・母」の葛藤を超えて

webスポルティーバ 8/18(木) 19:00配信

「大逆転!」「大逆転!」「大逆転!」の3連続金メダル!

 日本レスリング女子は、まさに“神って”いた。48キロ級・登坂絵莉(とうさか・えり)、58キロ級・伊調馨(いちょう・かおり)、そして69キロ級・土性沙羅(どしょう・さら)がそろってオリンピック制覇。伊調は「日本史上初」「レスリング史上初」「女子史上初」となるオリンピック4連覇の偉業を成し遂げ、登坂と土性はオリンピック初出場・初優勝を飾った。

【写真】男子グレコローマンスタイル59キロ級で銀メダルを獲得した「忍者レスラー」太田忍

 リオに向けて成田空港を出発する前、伊調は「平常心で臨みたい」と語っていた。レスリングでは試合中、シングレット(レスリングのユニフォーム)のなかに白いハンカチを入れておかなければならないが、3歳から中学卒業までレスリングの基礎を叩き込まれ、今も父のように慕って尊敬する恩師・澤内和興(かずおき)氏から試合前に贈られた白いハンカチにも、「平常心」と書かれていた。

 今回のリオ五輪へ向けて伊調は、当時20歳でイケイケだったアテネ五輪、「姉妹・同時金メダル」を目指した北京五輪、そしてレスリングの真髄を極める決意で挑んだロンドン五輪とは、まったく違った道のりを歩んできた。本人いわく、「積み重ねた重み」も違っていた。だからこそ、自らに言い聞かせたのは、「平常心」だった。

 厳しい戦いになる――。アテネ、北京でともに戦い、2大会連続・銀メダルを獲得した姉・千春はそう案じ、大会前に3つのキーワードを挙げた。

「4連覇」
「年齢」
「母」

 4連覇のプレシャーは、どれほどのものなのか。「あのカオリン(馨)でも、3連覇のときとは比べものにならないプレシャーに襲われるのではないか……」。姉はそう心配した。

 今年で32歳。最近はケガが多くなり、治りも遅く、疲れも溜まりやすくなってきた。オリンピックの舞台で決勝まで進めば、1日で4試合を戦うことになるが、「ロンドンまでのように、パワフルに戦い抜けるか……」。試合前に伊調から、「ロンドンのときは直前に足首のじん帯を損傷したけど、今回はケガなし。痛めているところもなく、ここ数年なかったコンディションのよさ」と聞き、胸をなでおろした。

 2014年11月、ずっと応援してくれていた母が突然、亡くなった。伊調は、「母の遺言でもある『死んでも勝つ』ということと、プラス自分のレスリングを追求していきます」と誓ったが、「それが今までにない気負いにならないか……」と考えたという。ただ、「母はこの会場のどこかにいて、カオリンを見守っていてくれている」と、姉は感じた。

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最終更新:8/19(金) 13:32

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