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インドのクルマ社会を変える女性起業家 「Myles」創業者が描く未来

Forbes JAPAN 8/18(木) 7:00配信

インドでは、若い世代を中心に車を所有せずにレンタルしたりシェアする傾向が強まっている。こうした変化を背景に事業拡大を進めているのが新興のレンタカー会社「Myles」だ。



世界最大の自動車生産国の一つであるインドではGDPの7%を自動車産業が占め、自動車保有台数は4,000万台以上に達する。Mylesの創業者兼CEOのSakshi Vijはインドの都市部で悪化する交通渋滞の解決のため、2013年に会社を設立した。

「インドは他の国々とは異なり、自家用車を自分で運転せずにドライバーを雇うのが一般的だ」と彼女は話す。インドでは渋滞が激しい上に駐車スペースが少なく、時間を無駄にしないためにドライバーを雇うケースが多いのだという。従来はレンタカー会社もドライバー付きの車を提供していたが、Vijはそうした慣習を変えたいと考え、Mylesでは車だけを提供している。

「インドでも将来的にスマートシティを実現するためには、車を個人で所有するのではなく、複数の人でシェアするように変えていかなければならない。Mylesはそうしたクルマ社会の変革を目標に掲げている」とVijは言う。

Vijのような女性起業家は、男性優位のインド社会では非常に珍しい存在だ。ニューデリーに本拠を置くMylesはVijの父親であるRajivが2001年に設立したレンタカー会社「Carzonrent」の子会社にあたる。Vijはこれまで9年間交通業界に携わり、ハーツレンタカーのインド代表を務めた経歴を持つが、「Mylesではこれまで培った経験とは全く異なるアプローチを取っている」と彼女は話す。

Vijによると、インドでは自家用車を持たず必要なときにレンタルする需要が急増しており、2013年後半にMylesのテストリリースを行った際には、僅か3日で1か月分の予約が埋まったという。

インドは先進国以上にカーシェアに前向き

インドは先進国以上にカーシェアに前向き

コンサルティング会社、キャップジェミニのレポートによると、自家用車を所有せずにカーシェアリングやレンタカーを利用することに前向きな考えを示す人の割合はインドを含む新興市場では59%に上るが、欧米など先進国では25~30%にとどまっている。

Mylesは設備投資を抑えるために、タクシー会社やカーディーラー、自動車メーカーなどと提携し車両を提供してもらっている。現在、同社はインド国内の21都市で事業展開し、1,000台以上の車をレンタカーとして提供している。インドのレンタカー会社としては珍しく、カーナビのレンタルやロードサイドサービスなども提供している。Vijによると、利用者の15から20%は海外からの訪問客だという。

インド生まれのレンタカー会社は、Myles以外にもムンバイを拠点とする「Zoomcar」やバンガロールを拠点とする「JustRide」が存在する。また、「エイビスレンタカー」などのグローバル大手も強敵だ。

「自分で運転するニーズが高まっている中、海外のレンタカー企業がどんどん参入してくることが予想される。我々のようなインド生まれのサービスの強みは、急速に変化するインド人消費者のニーズに柔軟に適応できる点だ」とVijは言う。彼女は3~4年後に事業を海外展開することを目指している。

「我々は車を所有しない新たなエコシステムのソリューションを提供したいと考えている。カーシェアリングの車が1台増えるごとに、20~25台の自家用車が手放されることが統計上示されている」とVijは話す。Vij は、Mylesのようなカーシェアリング企業が低燃費車を採用することで、環境に配慮したスマートシティの実現に貢献できると考えている。

「変革はまだ始まったばかりだ。インドでは個人や公共の交通サービスに対する需要が高まっているが、交通産業が長年バラバラな動きをしていたために対応が遅れていた。この課題を解決するカギはテクノロジーの導入にあり、我々のような企業が中心となって産業の成長を加速させていきたい」と彼女は話す。

Ambika Behal

最終更新:8/18(木) 7:00

Forbes JAPAN

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