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ゲッツェは「新しい自分」を見つけ出せるのか?

SOCCER DIGEST Web 8/18(木) 16:40配信

バイエルン時代は一部のファンや識者から辛辣な批判を浴びる。

 マリオ・ゲッツェはもう、「終わった選手」なのだろうか?
 
 早くから「ドイツの至宝」と極めて高く評価され、ドルトムントでは弱冠17歳5か月の若さでトップチーム・デビュー。一瞬の閃きとそれを具現化する類稀な技術と俊敏性を武器に、2010-11シーズンからレギュラーとしてブンデスリーガ連覇に貢献すると、13年夏には当時のドイツ人選手最高額の移籍金3700万ユーロ(現在のレートで約44億4000万円)でバイエルンに引き抜かれた。
 
 すべてが順風満帆で、華々しく出世街道を突き進むゲッツェ。しかし、バイエルンでの3年間は、当初の期待とは大きく異なるものとなった。
 
 度重なる怪我という不運に加えて、同じタイミングでバイエルンにやってきたジョゼップ・グアルディオラ監督が求める動きを、最後まで消化できなかったのだ。
 
 コンスタントに出場機会を得られないゲッツェは、一部のファンや識者から辛辣な批判を浴びせられることも少なくなかった。
 
 もちろん、ゲッツェが状況を変える努力を怠っていたわけではない。それはグアルディオラも公に認めている。7月20日、バイエルンとの強化試合を戦うためにマンチェスター・シティを率いてアリアンツ・アレーナに戻ったグアルディオラは、記者会見でゲッツェについて次のように述懐した。
 
「プレーするに値する選手だったのは確かだ。しかし、当時のチームには7人のアタッカーがいた。この仕事では、時にそうしたことも起こりうる。それでもマリオは、いつでもプロフェッショナルに振る舞ってくれた。機嫌を損ね、チームにとってマイナスな存在になる選手もいるが、マリオに限ってそんなことは全くなかった。(バイエルンでの3年間は)私にとっても、マリオにとっても簡単ではなかった。でも今は、彼に明るい未来が待っていることを祈っている」

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グアルディオラのスタイルを消化しようとするあまりに…。

 早熟の選手が壁にぶち当たり、その前であがいているうちに自分の良さまで失ってしまう――。フットボールの歴史を振り返れば、残念ながらそうした選手が少なくない。
 
 例えば、98年フランス・ワールドカップのアルゼンチン戦でセンセーショナルな一撃を決めたマイケル・オーウェン。18歳の新鋭が決めた極上のゴールを目にした世界のフットボール・ファンは、彼がどこまで伸びるのかと大きな期待を寄せた。
 
 しかし、対戦相手はいつまでも無策ではない。いつしか無欲に、自分の思いのままにボールを操っているだけでは、通用しないと気が付く。そして何とかしようと試行錯誤を続けるうちに、それまでの自分の武器までもが陰りの中に埋没してしまう。
 
 バイエルン時代のゲッツェはそうだった。頭をフル回転させてグアルディオラのスタイルを実現しようと試みるが、ついていこうとすればするほど、自身の最大の武器である閃きを失っていったのだ。
 
 冒頭のゲッツェに対する「終わった選手」という懐疑論は、そうした悪循環にはまり込んだ彼の3年間を目の当たりにした人々から、必然的に噴出したものだった。
 
 今夏、ドルトムントに復帰したゲッツェに対しては、「かつてのフォームを取り戻せるのか」という懐疑論がドイツ国内でも根強い。同じ議論は、レアル・マドリーからヌリ・シャヒン(13年)、マンチェスター・ユナイテッドから香川真司(14年)がドルトムントに戻ってきた時にも巻き起こった。
 
 しかし、歩んできた道のりが違えば、現在地での様相も変わる。目指すべきは「復調」ではなく、現状を冷静に見つめ、「新しい自分」を探すことだ。
 
 ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督は、「マリオは我々に必要なクオリティーを持っている」と高い評価を口にし、「彼に笑顔が戻ることを願っている」と続け、じっくりとフットボールに取り組める環境を約束している。
 
 トゥヘル監督にとってゲッツェは、間違いなく新シーズンのチーム作りにおいてキーになる存在だ。
 
 今夏は昨シーズンまでビルドアップの核を担っていたマッツ・フンメルス(バイエルンへ)とイルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・Cへ)、さらに崩しのアクセントとして眩い輝きを放ったヘンリク・ムヒタリアン(マンチェスター・Uへ)という主力3人が揃って退団。いわば一からの構築を余儀なくされる組み立てから崩しの局面、とりわけ後者において、ゲッツェにかかる期待はかなり大きい。

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最終更新:8/18(木) 16:51

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