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中国の海洋進出にロケット弾を向けるベトナム

JBpress 8/18(木) 6:10配信

 ベトナムが南沙諸島のいくつか(少なくとも5つ)の島嶼に長距離ロケット弾発射装置を配備したことが西側情報筋によって確認された。

 先月、国際仲裁裁判所が「中国による南シナ海での歴史的背景を論拠にした九段線の主張は国際法上認められない」という裁定を下したにもかかわらず、中国は南沙諸島・人工島での軍事施設建設を完成させようとしている。そのため、ベトナムは自らが実効支配を続けている島嶼環礁の自衛態勢を強化する姿勢を示して主権維持をアピールしているものと思われる。

 ベトナム政府や軍当局は、ベトナム軍による南沙諸島へのロケット弾発射装置配備の事実を認めていない。しかしながらベトナム軍指導者は、「南沙諸島はベトナム固有の領土である。自国の主権が及ぶ領域内に、自衛のためのいかなる兵器を配備しようが、それはベトナムにとって正当な権利の行使である」と公式に述べており、新兵器配備を示唆したものと考えられている。

■ EXTRA長距離ロケット弾の発射装置を配備か

 ベトナムが南沙諸島の島嶼守備隊に配備した発射装置は、イスラエル製のEXTRA長距離ロケット弾を発射することができる地上移動式発射装置と考えられている。

 EXTRAを開発・製造しているIMI(Israel Military Industry社)によると、この長射程ロケット砲システムは20キロメートルから150キロメートル先の敵指揮管制センター、補給施設、各種軍事インフラを攻撃する能力に秀でており、命中精度はCEP(半数必中界)が10メートル(発射したロケット弾の半数以上が目標の10メートル以内に着弾する)とされている。

 EXTRAは中国軍が保有している各種長距離巡航ミサイルの性能には及ぶべくもないが、ベトナムのような軍事予算が限られている国々にとっては、巡航ミサイルの代替兵器となり得るハイテク兵器である。また、ロケット弾そのものも比較的小型で、移動式発射装置も隠匿性に優れているため、敵の攻撃を受けにくいという利点がある。

 ベトナムはEXTRA発射装置を、中国が人工島に建設した滑走路を破壊できる位置に配備したものと考えられている。現時点では発射装置のみが守備隊に配備され、ロケット弾そのものは送り込まれていない模様だ。ただし、戦闘の可能性が差し迫った場合には、2~3日以内にロケット弾の発射態勢が完了するという。

■ 危機に瀕するベトナムの実効支配

 ここ2年来、中国は南沙諸島の7つの環礁を人工島化してしまい、そのうちの3つには3000メートル級滑走路まで建設し、いわば“南沙人工島基地群”を誕生させた。

 そのため、日本を含む国際社会では、あたかも中国だけが南沙諸島に軍事力を展開させようとしているかのごとく受け止められている。しかし、ベトナム、フィリピン、台湾など中国に対抗して南沙諸島の領有権を主張している国々も、ある程度(決して強力ではないが)の軍事力を展開させて南沙諸島の島嶼環礁を占拠して実効支配を続けている。

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最終更新:8/18(木) 6:10

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