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「ドーピング」に首まで浸かった中国という国家 - 辣椒(ラージャオ、王立銘)辛口風刺画・中国的本音

ニューズウィーク日本版 8/18(木) 11:00配信

<同じ社会主義の旧ソ連から挙国体制も学んだ中国では、オリンピックでのいびつな「金メダルコンプレックス」によってスポーツ選手への組織的なドーピングが横行していた。こうした「ドーピング」的思考は経済統計等にまで影響を及ぼしている>

 日本を含む世界はこのところ、ブラジルで開かれているリオデジャネイロ五輪に注目している。中国のメディアや国民も例外ではない。ただ中国の場合、オリンピックは共産党政権が愛国主義的宣伝を強化する場でしかない。普通まともな国家では、スポーツはまず個人の趣味・嗜好であり、選手は自分の夢を成し遂げるため努力する。今回のオリンピックでイギリスの射撃選手が金メダルを獲得した後、あたふたと農地の収穫のために帰国した、というエピソードを聞くと、中国人は不思議に思う。

 中国のスポーツ選手は国家が資金を使って育成するため金メダルはまず国家の栄誉であり、選手個人の成果は二の次だ。中国のスポーツ選手が金メダルを取った後に取材を受けたら、彼らは真っ先に国家への感謝を表明する。もし先に家族のサポートに感謝する選手がいたら、みんなに責められるだろう。中国のスポーツ選手が五輪参加と金メダル獲得を夢見るのは、いったん金メダルを獲得したら大きな栄誉だけではなく、巨額の賞金を勝ち取ることができるからだ。メダルを取れなかった選手の運命は悲惨で、国家の期待を裏切ったという大きな批判を背負い続けることになる。

 このいびつな「金メダルコンプレックス」は、挙国体制がもたらした結果に他ならない。中国はソ連から社会主義国家特有の制度を多く学んだが、国を挙げてスポーツ選手を育成する体制もその1つだ。各省から全国レベルまで、選手はただ金メダルのために練習する。もしあるスポーツがオリンピックから外れたら、中国はすぐにチームを解散する。中国のスポーツプロジェクトの設立と解消は、国際スポーツ大会での金メダルの存在によって決定されるからだ。

 今回のオリンピックでは、オーストラリアとフランスの競泳選手が中国の孫楊の過去のドーピング使用をあげつらい、中国のソーシャルメディアで猛烈な議論を引き起こした。その結果、中国のスポーツ選手の興奮剤の使用という「黒歴史」に再度注目が集まった。

 挙国体制の結果スポーツは政治にコントロールされ、国家のため、金メダルのためあらゆる手段を取ることを厭わなくなる。中国代表は79年から、系統的に、組織的にドーピングの使用を始めた。競泳、陸上競技、重量挙げなどがドーピング被害の深刻な「被災地」だ。今回のリオ五輪に参加した孫楊は14年に興奮剤を検出されたが、中国政府の説明は孫楊が「心臓の調子が悪い」ため薬を飲んだ、というものだった。しかし孫楊がそれ以前に心臓の問題を報告したというニュースはなく、さすがに国民もどうして心臓に問題のある病人が激しいスポーツの試合に参加するのか、と疑問を抱かざるをえなかった。

 90年代には、50人近い競泳選手から薬物が検出された。94年に広島で開かれたアジア大会では、11人の中国選手が12個の金メダルを取り消されたが、そのうち7人が競泳選手だった。私は最近、当時の中国女子競泳選手の集合写真を見て驚いた。写真の中の女子選手たちは、長期間大量に薬物を使うため、顔立ちさえ男性化していたのだ。

 目的を実現するためには作り事も厭わない――上から下まで広がった中国の道徳的災害だ。教育界では、大学入試統一試験のカンニングが何度禁止してもなくならず、中国人学生のカンニング行為はついに国外の大学にまで影響している。中国国家統計局のデータも疑わしく、中国経済の正しい情況を理解することを難しくしている。政府はGDPのために「興奮剤」を使うことを厭わない――中国経済を刺激する手段は全国での道路や鉄道、空港の建設を建設しかないのだが。中国のスポーツ界はドーピングの刺激から離れられない。しかしその副作用は甚大だ。「ドーピング」に頼った中国経済は、あとどれくらい持ちこたえられるのだろうか?

<次ページに中国語原文>

≪中国語原文≫

最近全世界包括日本民众在内都非常关注巴西举行的奥运会,中国的媒体和民众也不例外,因为每次奥运会都是中共政府用来强化爱国主义宣传的机会。在一个正常国家,体育运动首先是个人的兴趣爱好,运动员为了成就自己的梦想努力训练。这次奥运会上,英国的一位射击比赛选手在获得金牌之后急匆匆赶回家种地去了,这样的趣闻在中国人看来是不可思议的,因为中国的运动员们是国家花钱培养,金牌首先是国家的荣誉,其次才是运动员个人的成就。中国的运动员们在得到金牌后,如果接受采访,他们通常都会先感谢国家,如果有哪位运动员先感谢家人的支持,反而会被很多人责备。中国的运动员梦寐以求参加奥运会得到冠军,因为一旦获得金牌,不仅意味着巨大的荣誉,还会赢得巨额奖金。而没有得到奖牌的运动员,他们的命运就可能很悲惨,他们将背负巨大的压力,很多人会指责他们辜负了国家的培养。

这种畸形的冠军情结正是"举国体制"造成的,中国从苏联学习了很多社会主义国家特有的制度,其中就包括了体育举国培养的体制,从各省到中央,运动员们为了金牌而训练,假如某个运动项目从奥运会比赛中取消,那么中国很快也会解散这个运动队,因为在中国,体育项目的设立和撤销,是由国际比赛中金牌的存在而决定的。

本次里约奥运会上,澳大利亚和法国游泳选手讥讽中国的孙杨服用兴奋剂的不光彩历史,在中国的社交媒体上引发了激烈的讨论,并令中国运动员使用禁药的丑恶历史再次被广泛关注。

"举国体制"使得体育被政治操纵,一切都为了国家,为了金牌可以不惜采取一切手段。从1979年起,中国队就开始系统地,有组织地推广使用禁药。在中国体育界,游泳,田径和举重等项目都是使用禁药的重灾区。参加这次里约奥运会的孙杨,2014年被查出使用兴奋剂,官方的理由是孙杨因"心脏不适"而服药,但是之前孙杨从来没有报备过自己有心脏问题,而民众也质疑为什么要让一位心脏有问题的病人冒死参加激烈的运动比赛呢?90年代,中国有近50名游泳选手被查出使用禁药。在1994年广岛亚运会上,11名中国选手被取消12块金牌,其中7人是游泳选手。我最近看到一张当年中国女子游泳队员的合照,真是吓一跳,因为照片里的女运动员们因为长期大量使用禁药,连相貌都非常男性化了。

"为达到目的而不惜造假"已经成为中国从上到下非常广泛的道德灾难。中国的教育界,大规模的高考考试作弊屡禁不绝,中国学生作弊的问题甚至已经影响到了国外的大学;中国国家统计局的数据也造假,使得中国经济的真实情况很难被正确解读。政府为了GDP数字好看也不惜拼命使用"兴奋剂",刺激中国经济的手段却只有一条----继续在全国兴建大型工程,诸如公路,铁路和机场建设。中国的体育离不开禁药的刺激,然而禁药的危害也巨大,不知道中国的经济依靠着"禁药"还能强撑多久呢?

辣椒(ラージャオ、王立銘)

最終更新:8/18(木) 11:00

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