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7月FOMCの議事要旨-Long-Run Framework

NRI研究員の時事解説 8/19(金) 8:29配信

はじめに

ダドリー副議長によるコメントの後、米国市場では関心を失っていた年内利上げの可能性に対し、多少は再注目する兆しもみられた。そうした中で公表された7月FOMCの議事概要は利上げに前傾化した内容ではないが、FRBによる金融政策の先行きを考える上で、当然ながら有用な情報が含まれている。

金融情勢判断

議事要旨に示された金融経済情勢による議論(8~11ページ)のトーンは、会合直後に公表された声明文に要約された通りであり、大きなサプライズはない。その上で注目すべきなのは、FOMCが意識した二つの不透明性、(1)英国のEU離脱に関する国民投票結果による金融市場への影響、および(2)米国労働市場の改善ペースの失速リスクの双方が、6月FOMC時点に比べて低下したとの判断を示している点である(10ページ左段下以降)。

(1)に関しては、米国株価や米ドル相場の状況から明らかであるだけでなく、議事要旨は実体経済に対する影響もほとんどないとした。(2)に関しても、議事要旨は、6月の雇用統計が顕著に好転し、様々な統計から見ても労働市場が急に減速した訳ではないとの判断を示した。これらを踏まえ、FOMCメンバーは短期的な景気のダウンサイドリスクが低下したと判断した(10ページ右段上)。

もっとも、議事要旨のこの直後には、FOMCメンバーが長期の視点から注視する点が挙げられている。代表は、1)ユーロ圏、特にイタリアの銀行の自己資本の脆弱性や不良資産の大きさが、経済活動を圧迫するリスク、および2)中国の外為政策の不透明性や景気刺激に伴う債務の増加が経済に与えるリスク、といった周知の要素である。もっとも、議事要旨には、数名のFOMCメンバーが、米国の経済見通しに関する不透明性は特に高くはなく、リスクは上下にバランスしていると主張したことも記載されている。

これらを含め、FOMCメンバーは7月会合時点で金融経済情勢について見方が分かれていたとする米国メディアの解釈は正しい。ただし、6月FOMC時点に比べると、短期的なリスク要因が剥落したと判断している点で、金融経済情勢の評価が総じて好転したことも確かである。

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最終更新:8/19(金) 8:29

NRI研究員の時事解説

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