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ECBの7月政策理事会のAccount-コミュニケーションのレビュー

NRI研究員の時事解説 8/19(金) 8:33配信

はじめに

ECBのドラギ総裁は、7月の政策理事会後の記者会見(7月21日)で「緩和予告」とも理解できる発言を行ったが、今般発表された議事要旨(account)によれば、政策手段の選択肢を含め、明確な意識が共有されていたとまでは言えない面も明らかになっている。その理由も含めて議事要旨(accounts)の内容を検討しよう。

金融情勢判断

前回(6月1日および2日)の政策理事会後のユーロ圏にとって、最大のリスクイベントが英国のEU離脱を巡る国民投票であったことは言うまでもない。しかもその上で、政策理事会の大勢は、長い目でみた経済面の影響にはなお不透明性が残るとしつつも、金融市場もポンド相場や銀行の株価を除いて安定を回復し、実体経済にもとりあえず大きな影響は出ていないとの見方で合意した。

このうち国内経済に関しては、雇用と所得の改善を背景に個人消費が堅調な拡大を続けるほか、企業収益の好転の継続と緩和的な金利環境によって設備投資の一段の拡大が続くとの従来からの予想を維持した。海外経済をみても、依然として成長率は総じて低いものの、中国でのマクロ経済対策の実施や米国の第1四半期の低成長からの立ち直りつつなどにより、全体として安定化の兆しがみられるとの見方が示された。

この間、インフレ率は足許でわずかながらプラスとなったほか、年末にかけては原油価格のlevel effectも消滅するが、政策理事会メンバーは、ここから2%に向かって上昇を続けるイメージが持てないとの見方を示した。また、インフレ期待も、家計や専門家に対するサーベイ結果によれば、特に中長期のインフレ期待は概ね安定している一方、5年先の5年物金利のような市場指標は、英国によるEU離脱の国民投票後に顕著に下落し、その後も回復していない点が問題視された。

なお、金融システムに関しては、貸出金利や株価全般、為替レートからみて、マクロのfinancial conditionは緩和的になったとの見方が示された。もっとも、当然ながら一部国の銀行システムには懸念が示され、自己資本比率の低下や不良債権の残存等を背景に、こうした国での銀行の貸出供給力の低下に対して懸念が示された。

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最終更新:8/19(金) 8:33

NRI研究員の時事解説

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