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YouTubeから生まれた、今夏最高の音楽(ただし非YouTuberによる)

WIRED.jp 8/19(金) 16:20配信

The Rangeは、27歳のミュージシャン、ジェイムズ・ヒントンによるエレクトロポップのソロユニットだ。YouTubeから探し出したアカペラやスピーチのサンプルを組み合わせて、複雑な楽曲をつくり出している。アマチュアたちが心を込めて歌っているのをオンラインで見聞きしていると相当な時間が過ぎていくものだが、そうした歌声が、非常に高い評価を得たRangeのセカンドアルバム『Potential』には用いられている。

【YouTube動画をみる】不思議な親密さを感じさせる音楽を聴いてみる

『Potential』が完成したのは今年の初めのことだが、その作成のためにヒントンは「YouTubeで35日間、200時間ほど」を過ごしたという。「YouTubeの視聴時間としては、ちょっとしたものだよね」と、彼は言う。

アルバム製作中、ヒントンは彼らパフォーマーの暮らしに思いを巡らせた。彼らは皆アマチュアで、ヴィデオの再生回数はせいぜい3ケタ程度だ。

「いわゆる『YouTubeのサクセスストーリー』では、YouTuberは多くのサポートを受けるのが普通です」とヒントンは言う。「(一方でヒントンの作品に関係しているアーティストたちは)皆、自分たちの空いている時間を使ってなんとかうまくやろうとしています。自分たちの生活がある一方で、自らの音楽への情熱も失っていません。ぼくは彼らのことを、そして何が彼らを動かしているのかを知りたいと思いました」

同名シングルとともにリリースされたドキュメンタリー『Superimpose』では、ダンスホールレゲエの歌手でジャマイカ・キングストンで看守の仕事をしているダミアン・“ナチュラリス”・ゴードン(彼の楽曲「1000 Blessings」はRangeによる「1804」に使用されている)や、ロンドンのティーンエイジャー、クラディ・ザック(5年前にYouTubeで発表したフリースタイルラップが『Copper Wire』で使用されている)、19歳のブルックリンの学生、カイ(アリアナ・グランデの『You’ll Never Know』のカヴァーが、アルバムのリードシングル「Florida」の中心要素として用いられている)といったアーティストたちを追いかけている。

彼らのYouTube動画は、不思議な親密さを感じさせる。画面上の彼らは自信たっぷりだが、まっすぐカメラに向かった映像からは意味ありげな微笑みや不安げな視線の動きが見て取れるので、視聴者は彼らとつながりを感じずにはいられなくなる。

「パフォーマーが喜びに満ちていると、ぼくはそれにのめり込んでしまう。それはきっと、ぼくも同じように感じているから」とヒントンは言う。

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最終更新:8/19(金) 16:20

WIRED.jp

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