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酒井法子、渡辺美奈代、杉浦幸、30周年を迎えるアイドルたち……30年前のアイドル界に何があったの?

おたぽる 8/19(金) 18:00配信

 世間では、SMAPが結成28年目、CDデビュー25周年での解散が報じられているが、移り変わりの激しい芸能界において、それだけ長く続けるということがいかに大変なことかを示しているように思われる。

 そんな中、今年30周年を記念したライブやCD発売などを行う女性アイドルが相次いでいる。

 歌手で女優の酒井法子は、9月21日に『The Best Exhibition 酒井法子30thアニバーサリーベストアルバム』(ビクターエンタテインメント)
を発売、翌日の9月22日にはディファ有明で30周年のアニバーサリーコンサートを開催する。

 元おニャン子クラブの渡辺美奈代は、7月27日にソロデビュー30周年記念アルバム『30th Anniversary Complete Singles Collection』(ソニー・ミュージックダイレクト)を発売、9月25日に竹芝ニューピアホールで30周年記念コンサートを開く。

 また、ドラマ『ヤヌスの鏡』(フジテレビ系)で人気を博した杉浦幸は、8月24日、30周年記念のコンプリートCD+DVD BOXを発売、9月17日にタワーレコード新宿店で発売記念イベントを実施する。

 他にも、1年ずれるが、南野陽子も今年の6月26日に31周年の記念コンサートを開き、多くの観客を動員している。

 彼女たちが30年たった今も活動を続け、ファンから支持されているのはなぜなのか。まずは、彼女たちがデビューした30年前、1986年のことを振り返ってみよう。

 1986年、まだ元号は、昭和61年である。

 バブル景気の始まりとも言える年で、自民党の中曽根政権が安定した基盤を保っており、平穏な時代であった。主だったニュースを見ても、上野のパンダの赤ちゃんトントンの誕生、ドラマ『男女7人夏物語』(TBS系)のヒットなど、明るいニュースが多い。

 この年は、まだアイドルが元気だった。

 おニャン子クラブ全盛期で、オリコンチャートでは全52週のうち35週で彼女ら(ソロ、グループ内ユニット含む)は1位を獲得している(ちなみに、当時はまだレコードに握手券がついていたりはしていない)。

 また、『ザ・ベストテン』(TBS系)、『歌のトップテン』(日本テレビ系)、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)、『ヤンヤン歌うスタジオ』(テレビ東京)など、アイドルが出演する番組がゴールデンタイムに多数放送されていた。すでにビデオデッキは普及しており、私などはそれらの番組でアイドルの歌う姿を録りためては繰り返し見たものだ。

 そんな平穏な時代のアイドル界に、ひとつの事件が影を落とす。

 4月8日、一人のアイドルが所属事務所の屋上から飛び降りて自ら命を絶った。岡田有希子である。

 このことが、多くのアイドル、そしてアイドルファンに大きな影響を与えたことは間違いない。

 多くのアイドルの目標であり、ファンの憧れであった彼女の自殺。あるものは目標を見失い、あるものは再びアイドルに憧れを抱くことはなくなった。

 実際、私の周りでも、その時からアイドルファンをやめた人もいる。アイドルに夢を見ることができなくなってしまったのだ。

 しかし、それでもアイドルであったり、アイドルファンを辞めなかった者は、心のどこかで覚悟を決めたのだ。「それでも自分はアイドルを続けよう」「何があっても好きなアイドルを応援しよう」と。

 それでも、時代は容赦がなかった。

 その後、世の中は「アイドル冬の時代」とよばれる時期に入っていく。

 テレビの音楽番組はなくなり、アイドルのマーケットは減少。「アイドルが好き」ということは、「かっこ悪いこと」というようなイメージを持たれていた。

 きっかけについては諸説あるが、岡田有希子の死によって、アイドルという存在の基盤がゆらいでいったことも、要因のひとつだと私は考える。

 冬の時代はその後5年にもおよび、アイドルという存在はますます淘汰され、いわゆる「アイドルファン」の母数も減っていった。

 しかし、それをも乗り越えてきた人は強いのである。

 今、再びアイドルブームが到来し、過去のアイドルたちの活動も見直されつつある。ある意味「アイドルになること」はたやすい時代かもしれない。しかし、「アイドルを続ける」ことの難しさは並大抵ではない。

 30週年を迎えたアイドルと、そのファンたちは、そんな苦しい時代をともに乗り越えてきた「同志」のような絆で結ばれているように思う。だからこそ彼女たちは、その晴れの舞台をともに祝おうとし、ファンはそこに集うのだ。

 今年もたくさんのアイドルがデビューしているが、30年後、30周年を祝えるアイドルがどれだけいることだろう。おそらくは、いたとしてもほんの一握りの人だと思う。それでも、私は一人のアイドルファンとしてそのことを夢見ずにはいられない。

 アイドル、そしてアイドルファンの幸せという姿のひとつは、そういうことだと思うから。
(文=プレヤード)

最終更新:8/19(金) 18:00

おたぽる