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BOSEがめざすカーオーディオの未来【後編】

@DIME 8/19(金) 20:01配信

 前編に続いて、BOSEがめざすカーオーディオの未来について解説していきたいと思います。BOSEが掲げる新たなオーディオ開発&戦略は、よりハイエンドからコンパクトまでより幅広いモデルへのより細かな音づくりが可能になるといいます。これは近年プレミアムブランドにも見られる“ダウンサイジング”(既存のモデルがサイズアップしていく一方で新たなコンパクトモデルがラインナップを支える)へのオーディオからも目が、いや耳が離せそうにありません。加えて、ヘッドレスト内蔵スピーカーの技術を利用したHMI技術にも注目いや注耳なのです。

 まず今後、楽しみなのが、A、Bセグメント向けに開発の進む『スモールビークル・シリーズ』。A、Bセグメント=コンパクトでもカジュアルなモデルでも高級車みたいなプレミアムオーディオやレザーシート、サンルーフなどの装備の採用が増えています。これはダウンサイジング志向が進む中では自然なことだと思われます。

 コンパクトなモデルでも、こだわりの装備で上質で快適な移動をしたいという大人が増えても不思議ではないからです。ただ、例えば、アウディ『A1』にも14スピーカーを内装するBOSEのプレミアムサウンドシステムが採用されています。とても素晴らしいのですが、とにかく価格が高い。が、今後のBOSEはメーカーの要望に応じて、多くのユーザーがより良い音を楽しめるように、比較的安価なシステムも搭載予定なのだそうです。

 その一例として、ラスベガスでは日産『ジューク』をデモカーとして使用。ドアに内蔵されたスピーカー(低音を出すサブウーハーの役割も担う優れものという点が他とは違う)に、2つのツイーター、さらに前出の“ウルトラニアフィールド・スピーカー”を運転席ヘッドレスト内に2つ、助手席にも同様に2つ、計8つで構成されているシステムで、これを試聴させていただきました。

 実はキャデラックのソレを試聴する前にこちらの体験をさせていただいており、そもそもヘッドレストに内蔵されたスピーカーとヘッドホンとは違うわけで「耳元でガンガン音が聞こえるのは大丈夫なのか?(なんてワケはないと想像できても)懐疑的でした。しかし、音が変われば空間の居心地が変わります。低音や高音はもちろん大音量がまた気持ちいい。

説明の中でもっともわかりやすかったのが“守備範囲”の考え方。例えば『CT6』の場合、ウルトラニアフィールド・スピーカーはボーカルの真ん中の音だけ担えばよかったそうだが、『ジューク』ではボーカルの音全体が発する幅広い音域(幅広い周波数帯域)をヘッドレストスピーカーでカバーしています。

 軽量化もしなくちゃいけない=数少ない開発事情もあります。耳元に近いがゆえに、音像の再現や立体感、音の広がりをコントロールしやすいため、このスピーカーが大活躍、というわけです。耳元にスピーカーあることで、後ろから聞こえてくるような音もヘッドレストが担っていますが、明らかに守備範囲が増えていることがわかります。

 とりわけ、『ジューク』のような個性的なモデルをこだわって選び、ロードトリップするほど移動の機会も時間も多い方には、良質な音がパートナーとなれば1人だって寂しくありません。大音量で音楽を楽しみながら豊かな自然の中や、夜のイルミネーションがキラキラの首都高や高速をパーソナル感覚で走ってみたくなります。

『スモールビークル・シリーズ』では、このスピーカーを1つ(運転席のみ)もしくは2つ(運転席&助手席)選択できるほか、運転席+前後のドアスピーカーとの組み合わせも可能です。自動車メーカーがそのマーケットに合わせて選択できるようにするそうです。説明の最中で開発者の方が「例えば、200万円前後のクルマであれば、オプションとしてオーディオを選ぶ場合のコストはおそらく4万円程度ではないでしょうか。6万円、8万円は車両価格の割合からしてなかなか手が出しにくいのはで?」と話していました。それでは実際の、スタート価格は?と気になります。 

 ちなみに、こちらは2017年からの導入を考え、すでにいくつかのメーカーと開発を進めているという。カーライフの楽しみ方は様々ありますが、オーディオにこだわりを持つ方や持ちたい方にとって、同社の新たな戦略は今後ますますクルマ選びのひとつのポイントになるかもしれません。

 将来的に採用が期待されるもうひとつがHMI技術。開発段階でのネーミング『N・e・a・r』は、Non Entertainment Audio Rendering(ノン・エンターテイメント・オーディオ・レンダリング)の各頭文字を取っています。これは音楽だけでなく、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)技術としての可能性が素晴らしい。

 耳元でナビの方向やハンズフリー通話の音声が聞こえるのだが、注目ポイントはひとつひとつの音に方向性を持たせている点にあります。例えば、ナビのルート案内。交差点で右折という場面では右から音が聞こえます。他にも左車線変更時に左後方から車両が来ている場合は、注意喚起がヘッドレスト内蔵スピーカーの左側から聞こえてきます。

 これは説明のみだったけれど、ハンズフリーで行なう通話も同乗者には聞こえず(もしくは聞こえにくい?)に会話ができるそうです。オーディオをエンターテイメント以外でも取り入れたこのアイデアも、安全性や快適性を向上させるテクノロジーとして実車への採用を期待したいところです。

文/飯田裕子(モータージャーナリスト)

@DIME編集部

最終更新:8/19(金) 20:01

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