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マイケル・ムーアが指摘:「ドナルド・トランプは、本当は大統領になんかなりたくないんだ」

ローリングストーン日本版 8/19(金) 12:30配信

「共和党大統領候補であるドナルド・トランプの選挙活動の本当の目的は、大統領になることではなく、テレビ局とのよりよい契約条件を引き出すための交渉材料である」と映画監督のマイケル・ムーアは指摘する。

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「ドナルド・トランプは、本当は大統領になるつもりなどない」とマイケル・ムーアは指摘する。アメリカの三大ネットワークのひとつであるNBCとの新たな契約交渉を有利に進めるネタのひとつとして、大統領選に参入したという。ムーアは情報源を明かしていないが、ハフィントンポスト紙へ寄稿した記事の中で、「この記事を読んで、"自分自身のことを書かれている"と気づいた人たちがいるだろう。そして彼らはここに書かれている一語一句すべてが事実であると知っているはずだ」と述べた。

ムーアによるとトランプは、番組『アプレンティス(原題:The Apprentice)』と『セレブリティ・アプレンティス(原題:The Celebrity Apprentice)』の出演で期待していたような稼ぎが得られなかったという。そこでトランプは、大統領選に出馬して注目を集めることでNBCに対し、アプレンティス・シリーズで得た以上の価値があることを示したかったのだと推測している。ところが、トランプの目論見は立ちどころに頓挫してしまった。選挙戦スタート時の悪名高い記者会見で、メキシコ人を「レイプ犯でドラッグ・ディーラーだ」と呼び、アメリカとメキシコの国境に壁を建設する、などと発言したことが原因で、NBCは直後にトランプとの契約を打ち切っている。

それでもトランプは当初の計画を捨てきれず、他のテレビ・ネットワークに対して彼の大統領選における注目度をアピールしようとしている。トランプ自身と彼の周辺では、予備選ではそう多くの勝利を上げられず、ただ立候補のみで大統領選にまで辿りつくことはないだろう、と予想していた。

選挙活動をメディアが騒ぎたてたことで注目を集めたトランプ

しかし、トランプの選挙活動をメディアが騒ぎたてたことで注目を集め、選挙戦でも勝ち始めると、テレビ局との大口の契約を獲得するという当初の目的はそっちのけで、世界的な注目を集めることに酔いしれ始めた。しかしムーアは、ニュージャージーでの予備選に勝利し共和党候補を勝ち取った後のトランプらしからぬ抑制されたスピーチは、トランプの策略がついに実を結んだ瞬間だった、と指摘する。

「気力も達成感もないものの、選挙活動を開始した当初の計画通り、人々の注目を集め続けなければならないことをトランプはよくわかっている。これはもはやパフォーマンス・アートとは呼べず、彼の仕事のノルマとなっている」とムーアは書いている。

ゴールドスター・ファミリー(戦死者遺族)のキズルさんとガザーラさんのカーン夫妻を批判したり、憲法修正第2条擁護派の人々に対してヒラリー・クリントン暗殺を示唆したりと、日を追うごとに酷さを増すトランプの失言は報いを受けて自己破滅するだろう、とムーアは分析している。

「多くの人々は、トランプが本気で大統領の職を全うしようなんて思っていないことをわかっている。そして忘れてはいけないのは、来る2016年11月8日(大統領選挙の日)の夜、トランプが公に負けを認め、法的に"敗北"を宣言したとしても、彼にとっては"痛くも痒くもない"、という点である。トランプは追い詰められている」。

「トランプは直ちに退場すべきで、そうなれば共和党はポール・ライアンかミット・ロムニーを候補として立てることとなり、大統領選に敗北し、おそらく上院と下院の議席や最高裁判所判事の任命権も失うだろう」とムーアは述べ、さらに「あなたはもう無理をしないほうがいい。あなたは今や、差別と偏見に満ち1%の金持ちを長年に渡って満足させてきた一派の論理的帰結でしかない。そして今、彼らの切り札(trump)はしっぺ返しを食らっている」と、トランプへ向けた個人的なメッセージで記事を締めくくった。

Translation by Smokva Tokyo

JON BLISTEIN

最終更新:8/19(金) 12:30

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