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原油安は長期化へ、サウジは持ちこたえられるのか

JBpress 8/19(金) 6:15配信

 8月15日の米WTI原油先物価格は1バレル=45ドルを突破し、7月21日以来の最高値となった。8月18日現在で同46ドル台で推移している。

 8月に入ってから一部の産油国が原油価格下支えに向けた動きが出ていたが、ここにきて相場を動かしたのは、サウジアラビア政府高官の発言である。8月11日、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、「必要があれば、OPEC加盟国および非加盟の産油国と協力し、原油市場の再調整を促す手立てを講じる」と述べた。「OPECが9月にアルジェリアで予定している非公式会合では、原油市場の現況や市場安定のために必要となる可能性がある措置について協議する」と言う。

 これを受ける形でロシアのノバク・エネルギー相は8月15日、「石油市場の安定に向けてサウジアラビアや他の産油国と協議を続けている」と述べ、必要な場合に生産量を据え置く「増産凍結」について議論する用意があるとの姿勢を示した。

■ アルジェリア会合はドーハ会合の二の舞に? 

 だが、果たしてアルジェリア会合で増産凍結が合意されるだろうか。

 4月のドーハでの会合は、増産を継続したいイランが欠席し、増産凍結の合意に至らなかった。そのイランは「原油生産量を制裁前の水準に回復する」という目標が達成できる目処が立っているので、増産凍結を受け入れやすいはずだ。しかし、内戦の沈静化により原油生産量を元に戻そうとしているリビアや、野心的な増産目標を掲げるイラクが増産凍結に応じないのではないかとの懸念が生じている。

 また、ロシアは協議に前向きな姿勢を示しているものの、原油生産量は過去最高水準を保ったままである。

 柔軟な姿勢を見せ始めたとされるサウジアラビアも、7月の原油生産量は前月比12万バレル増の日量1067万バレルと昨年7月の過去最高(日量1056万バレル)を更新した。OPEC非加盟国の関係筋によれば、8月の生産量はさらに増加し、日量1080~1090万バレルになっているという。サウジアラビア政府は「エアコン利用など夏季の高い原油需要が高いため、原油生産量を増加させた」としている。

 このように9月のアルジェリア会合も、4月のドーハ会合の「二の舞」を演じるとの見方が支配的だ。足下の市場では生産調整を材料に押し押しムードとなっているが、先週前半までの展開で膨れあがったファンドなどの売り玉の整理が一巡すれば、他に新材料がないため上昇は一服するだろう。

■ 米国でシェールオイル生産が再び活発化

 OPECは8月10日に公表した月報で、「原油需要が季節的に伸び悩み、石油製品の在庫が高水準を維持するため、世界的な原油安は長期化する可能性がある」との見通しを示した。

 筆者はかねてより「世界市場で石油製品がだぶついている状況で、米国のガソリンシーズン終了によるガソリン市場の供給過多が、原油価格の下押し要因となる」と指摘してきた。OPECも同様の懸念を抱き始めているようである。

 翌11日に発表された国際エネルギー機関(IEA)の月報でも、「原油市場は下期に需給がタイト化に向かうが、リバランスまでには時間がかかる」との見方を示した。その主な要因は在庫の積み上がりである。OECD諸国の原油在庫は6月に過去最高の30億9300万バレルになり、石油製品在庫がこの時期の平均の4倍強に拡大している。

 米国で石油リグ稼働数が微増傾向が続いているのも気になるところである。米油田サービス会社ベーカーヒューズが発表した8月12日までの週の米石油リグ稼働数は前週比15基増の396基となり、7週連続の増加となった。

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最終更新:8/19(金) 6:15

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