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不毛な「押しつけ憲法」論争はもう卒業しよう

JBpress 8/19(金) 6:10配信

 アメリカのバイデン副大統領の日本国憲法についての発言が論議を呼んでいる。これはクリントン大統領候補の応援演説で、共和党のトランプ候補が「日本と韓国から米軍を撤退させて日韓に核武装させる」と主張していることに反論した中で出てきたものだ。

「われわれが日本国憲法を書いた
ので、彼らは核兵器を保有できない」("We wrote the Japanese constitution so they could not own a nuclear weapon")という発言の「われわれ」はアメリカ人、すなわち当時のGHQ(連合国軍総司令部)を意味する。これは歴史的には間違っていないが、アメリカの副大統領が公式に認めたのは異例だ。

■ GHQが「平和憲法」を起草した

 これに対してワシントンの日本大使館は「現行憲法は帝国議会で最終的には十分に審議され、有効に議決されたものだが、占領軍当局の強い影響のもと制定されたものだと考えている」とコメントし、バイデン発言を大筋で認めている。

 この発言を産経新聞は「押しつけ憲法」をアメリカが認めたものとして大きく報じたが、朝日新聞は「戦後の歴史を無視するかのようなバイデン発言は傲慢」と批判し、東京新聞は「戦争放棄は幣原首相が提案した」というGHQのマッカーサー最高司令官の発言を紹介している。

 この経緯については多くの研究があるが、幣原が提案したという話は疑わしい。これは1946年1月24日に行なわれたマッカーサーと幣原の会談で出たとされているが、幣原の証言によれば戦争放棄は一般論だった。1月30日に閣議了解された日本政府案(松本案)には戦争放棄という条項はなかった。

 憲法制定当時の最大の焦点は第9条ではなく、第1条(天皇)だった。日本政府が「国体護持」を求める一方、連合国のつくった極東委員会で、ソ連は天皇制の廃止を求めていた。マッカーサーは天皇制を廃止すると大混乱になると考え、それを名目的に存続しようとしていた。

 ところが松本案の内容は、天皇主権の明治憲法とあまり変わらないものだったので、マッカーサーは2月3日に民政局のケーディス次長に憲法草案をつくるよう命じた。25人のスタッフが大急ぎでGHQ草案(写真)を起草し、10日にマッカーサーに提出した。

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最終更新:8/19(金) 6:10

JBpress

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