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自民党の“レッドソックス化”~書評「情報参謀」

アゴラ 8/20(土) 7:10配信

情報参謀 (講談社現代新書) [新書](https://goo.gl/uwmtQ2)
小口 日出彦
講談社
2016-07-20

どうも新田です。都知事選が終わった直後、現代ビジネスの瀬尾傑・前編集長(いまは講談社の第一事業本部長)のお誘いで、本書「情報参謀」を上梓したばかりの小口日出彦さんのメディア関係者向け講演に行ってまいりました。本書では、2009年の野党転落後の自民党が広報戦略立て直しのため藁をもすがる思いで始めた、テレビ・ネットの膨大なデータ分析による情報戦略の当事者として内幕を明かしております。

初めて明かされる“政界版マネーボール”の内幕

瀬尾さんが講演の誘い文句で「政界版マネーボール」と評したのは、実に言い得て妙。本家マネーボールは、大リーグの弱小貧乏球団のアスレティックスが、綿密な統計データ分析により、選手の隠れた才能を引き出し、チーム強化に成功したわけですが、本書によると、自民党も野党転落数か月後にはテレビの政治報道全体で、自民党中心の露出が2.9%にまで落ち込み(民主党関連は65.4%)、「発言権が奪われた」と嘆くようなどん底だったとか。

そりゃそうですよね、この当時はまさに蓮舫さんの仕分け女王ぶりとかで民主党政権が政治報道でまさに“絶頂期”でした。

本書では野党転落から政権を奪還し、ネット選挙が解禁となった2013年の参院選まで4つのフェーズに分け、自民党がデータを使って地味でコツコツ体制を立て直してきた経緯を振り返ります。テレビ報道の時間量やネットでの検索数など膨大なデータを定量・定性で、自民や他党がどう取り上げられているかを分析しているわけですが、たとえば2010年当時の報道の論調がつくられる時間帯について「世論は朝つくられる」といった傾向が出てくるあたり、「良いバッターは打率よりも出塁率の高い奴」的なマネーボール理論を彷彿とさせます。

折しも、尖閣沖の中国漁船衝突の動画がYouTubeに流出するなどネットが世論に与える影響が急速に高まった時代の変化をとらえながら、自民党は攻勢に転じてネット放送局を党本部に開設したり、谷垣総裁のツイッター対話集会をやったりしていくわけですが、そうしたネット戦略を裏支えした “小口理論”の試行錯誤ぶりも明かされていきます。

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最終更新:8/20(土) 7:10

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