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親のスマホ依存が引き起こす、子どもたちの“愛着障害”とは?

ダ・ヴィンチニュース 8/20(土) 9:00配信

 老若男女が『ポケモンGO』に夢中になっていた休日。公園でふと気になる光景に出くわした。記者が散歩していると、前から30代とみられるお父さんと5歳くらいの女の子が歩いてきた。

 お父さんはとっさに現れるポケモンを逃すまいと、スマホの画面を見ながら歩いていた。女の子がふと「(池の)魚が見たい!」と話しかけたところ、お父さんは「いいから、行くよ」とスマホを見つめたまま、女の子の手を引っ張りそのまま記者とすれ違っていった。

 賛否両論はあるだろうが、その光景を見た記者は子どもの好奇心の芽を摘むようなふるまいにいささか疑問をおぼえた。昨今、スマホ依存についての関心もみられるが、そこからさらにもう一歩踏み込み、親子間での「スマホ・ネグレクト」を指摘する声がある。

 それを「小さな虐待」だと主張するのは、書籍『スマホ依存の親が子どもを壊す』(諸富祥彦/宝島社)である。教育学博士である著者は、問題の本質を以下のように分析する。

親がスマホ依存に陥っているため、子ども、とくに0歳から6歳の幼少期の子どもの間に安心できる関係「心の安全地帯」を体験することができないまま育ち、その結果、自分の感情をコントロールする力や他者を信頼する力といった、幸福になるうえで必要な「生きる力」を欠いたまま生きることになってしまうのです。

 手元でたくさんのコンテンツを、気軽に楽しめるスマホ。SNSも日常的に使われる現代では、コミュニケーションの重要な手段にもなっている。実際、恩恵を受けている以上はその存在自体をむげに批判することはできないが、とはいえ四六時中、スマホに振り回されるというのも健全ではないようにみえる。

 親子間においては、0歳~6歳くらいの「泣く」「呼ぶ」「甘える」などの行動に親が応えるという、情緒的なやり取りを必要とする期間に「必要な『心の土台づくり』が行われないと、人格の基底的な部分が育たたないまま成長してしまうことになります」と主張する著者。もちろんスマホも上手く活かせればよいのだが、やり取りを誤ると、その先には「愛着障害」の危険性が生じてくるという。

 愛着障害とは、養育者と子どもとの間に一定の愛着や心のきずなが形成されないまま成長することである。古くからの格言に「子どもは親の背中を見て育つ」というものがあるが、これは、動物行動学からみた人間の成長にも繋がる話である。ひな鳥は、すり込みにより親鳥を認識する。これと同じく、人間も0歳~3歳くらいに「自分を育ててくれる、守ってくれる」と認識した相手に対して「後追い行動」をしはじめるという。

 いうなれば子どもたちにとってはいつでも帰れる「心の安全基地」であると著者はいうが、本来ならば、これがあるからこそ他者との関係を築ける。しかし、帰るべき場所が不十分なまま成長し、逃げ場のなくなった子どもたちは現実から逃避しはじめる。

 これを心理学で「解離」と呼ぶが、居場所のなくなった子どもたちは「(辛い状況にある)自分は自分ではない」と心の中で人格を切り離しはじめる。そして、最悪の場合、やがては自分の存在を確かめるためにリストカットや何らかの依存症へ発展するケースもあるという。

 感情面では「私は愛されているんだ」という感覚を、子どもに与えるのが大切だと主張する著者。それは、人と人としてふれあうという、人間同士における根本的なやり取りを意味する。この記事を読み終えてくださった方々も、このあたりでいったんスマホを置いて、子どもたちとぜひ向き合ってほしい。

文=カネコシュウヘイ

最終更新:8/20(土) 9:00

ダ・ヴィンチニュース

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