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夏の甲子園 観客がタオルをぐるぐる回すことの是非

NEWS ポストセブン 8/21(日) 16:00配信

 今年の夏の甲子園が今日で終わる。だがオリンピックもそうであるように、アマチュアスポーツの魅力は勝利だけにあるのではない。現地で取材を続けているフリー・ライターの神田憲行氏が甲子園で目撃したフェアプレーをお届けする。

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 大会前にネットで評判を呼んだのが、島根代表・出雲の林将大捕手の行動だ。島根大会で優勝を決めた瞬間、マウンドに集まるチームメイトの歓喜の輪を加わらず、グラウンドに放置されたバットを拾って相手ベンチに届けた行動が動画で広まり、「冷静」「紳士的」と絶賛された。

「バット引きはいつもやってることなんで、ちゃんと最後までやってだけです」

 と、林選手は私の取材に照れた。「バット引き」とは、相手打者が打って投げ捨てたバットをグラウンドから引いて渡すことを指す。いろんな人から褒められたそうだが、

「監督と部長先生には褒められていません!」

 と笑いながら、わざと大きな声でアピールした。部長がいちばん喜びそうなのに、と不思議に思って同校の藤井勝洋部長に訊ねると、自分の浅さを思い知らされた。

「うーん、そういうことって褒めることなんでしょうかね? 褒めると次もやれって、こちらから指示したことになってしまう感じがするんです。彼が取った行動は素晴らしいものです。ですが、監督や部長から言われてするものではないでしょう」

 出雲は大会初日に智弁学園に敗れた。試合後、インタビュールームで目元を赤く染めながら取材に答える林選手の姿があった。私もその輪に加わって話を聞いていると、突然林選手が「あ、すいません、座っているのは僕だけですね」と腰掛けていたベンチから立ち上がった。取材には帽子をとって起立して答える、というのがマナーとされている。私個人は立ってようが座っていようがどうでも良いし、むしろ試合後は疲労あるだろうから、立たなくてもいいとすら考えている。林選手のマナーの良さより、あの状況で周囲を観察する視野の広さに感心した。「扇の要」と評される捕手にふさわしい人柄だと思った。

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最終更新:8/21(日) 20:16

NEWS ポストセブン

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。