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正社員採用をアメ玉に「試用・研修」悪用で搾取が横行!悪条件や採用拒否は違法!

Business Journal 8/21(日) 6:00配信

 近年、実際の労働条件よりも良く見せかけた求人票で労働者を集めるという、いわゆる「求人詐欺」が世間を賑わせている。このため、政府内で虚偽の求人情報掲載に対する罰則を強化しようという法改正が検討されている。

 一方で、「試用期間」や「研修期間」という制度を悪用した、詐欺的な手法で労働力を確保する行為が横行している。労働問題に詳しい佐藤宏和弁護士は次のように解説する。

「正社員を募集する求人票への応募に対し、会社が『試用期間』『研修期間』と称して、求人票より不利な条件での労働契約を提示することがあります。応募者は、一定期間が過ぎれば求人票にあった労働条件で雇ってもらえると期待して、提案に同意し勤務を開始しますが、会社側は当該期間中や期間の経過後に、本人の能力不足といった理由をつけて、求人票どおりの労働条件は出せないと通告するのです」

 そうなると、労働者は試用期間満了後、求人票より不利な条件を受け入れて働き続けるか、退職するかの二択しかないと考えてしまうことが多い。このような現象の背景には、労働者側に「試用期間についての大きな誤解がある」と佐藤弁護士は言う。

「そもそも試用期間とは、『解約権留保付労働契約』(三菱樹脂事件、最高裁昭和48年12月12日判決参照)に付随する特約で、期間が満了したらいったん労働契約が終了するわけではありません。仮に、会社が研修期間という用語を使って、研修中は労働者をいわゆる契約社員のように扱ったとしても、その期間が労働者の能力や適性の有無を判断するための期間であれば、『期間満了により労働契約が当然に終了する』という明確な合意がある場合を除き、それは無期限の労働契約に付随する『試用期間』であると判断されます(神戸弘陵学園事件、最高裁平成2年6月5日判決参照)」(佐藤弁護士)

 つまり、労働者の能力や適性を評価するための試用期間や研修期間が終了しても、原則として契約社員のように労働契約が終了するわけではないということだ。「試用期間が終了するまでは正社員ではない」と考えるのは、労働者側の大きな誤解だ。

●試用期間が満了しても基本的に解雇できない

 さらに佐藤弁護士は、次のように説明する。

「また、会社側がその労働者は能力不足であると判断したとしても、試用期間であることを理由に好き勝手に解雇(本採用拒否)できるわけではありません。試用期間満了時に会社が労働者を解雇するには、労働者が契約上必要な能力を著しく欠いていることが事後的に判明した、自己の経歴を偽っていた、などの事情を証拠によって客観的に明らかにしなければならない(前述三菱樹脂事件判決)のです」

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最終更新:8/21(日) 6:00

Business Journal