ここから本文です

あらゆる生物の祖先「LUCA」、40億年を遡る遺伝子研究

WIRED.jp 8/21(日) 7:20配信

「Last Universal Common Ancestor」(最終普遍共通祖先)、略して「LUCA」は、その起源を約40億年前にまでさかのぼることのできる単細胞生物だ。

ヒトの顔に生息するダニは「人類の歴史」を紐解く秘密を知っている

LUCAは、その名の通り「あらゆる生物の共通の祖先」だ。そして、そのゲノムを詳細に分析したハインリッヒ・ハイネ・デュッセルドルフ大学の生物学者のチームが「Nature Microbiology」誌で発表したばかりの研究からわかるかぎりにおいては、LUCAはきわめて頑強で、今日でも地球上に存在している熱水噴出孔に似た環境、つまり酸素がなく非常に高温で、鉱物の豊富な極限環境でも生存できたという。

進化生物学者ウィリアム・マーティン率いる科学者たちは、LUCAの「遺伝的IDカード」を再構成できるようになるまで、長い間調査を行わなければならなかった。ほかの単細胞生物(古細菌と細菌)のものである600万以上の遺伝子を分析し、子孫のたどった進化的道のりを検討することで、LUCAのものだったであろう355の遺伝子を特定した。

科学者たちの期待は、遺伝子の研究によって、この生物の考えうる生命サイクルを再構成することだ。そして、それはすぐに実現した。

論文に付属するコメント記事で、生物学者ジェイムズ・マキナーニーは述べている。「この研究は、40億年前のわたしたちの惑星の生命について、かけがえのない視座を与えてくれます。LUCAの代謝を研究することで、わたしたちは古細菌と細菌が分化する前の、進化論的に最良の局面を目にできるのです」

一方、『ニューヨーク・タイムズ』が指摘しているように、まったく異なる考えの人もいる。マサチューセッツ総合病院のジャック・ショスタクは次のようにコメントしている。

「LUCAと生命の起源は、莫大な距離で隔てられていて、進化的なイノヴェイションだらけです」。ケンブリッジ大学の化学者ジョン・サザーランドはさらに辛辣だ。「LUCAの遺伝子記述は非常に興味深いです。しかし、地球上の生命の実際の起源とは何の関係もありません」

TEXT BY SANDRO IANNACCONE

最終更新:8/21(日) 7:20

WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.26』

コンデナスト・ジャパン

2016年12月10日発売

630円(税込み)

特集:新しい映像。新しい物語。ヴィジュアル・ストーリーテリングの新時代を伝える「WIRED TV」特集。映像はいま何を語り、どんな体験をもたらしうるのか。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。