ここから本文です

都庁改革のカギは、情報公開 --- 上山 信一

アゴラ 8/21(日) 7:10配信

都政改革本部を手伝うことになり、友人知人から「たいへんですねぇ―」と同情されます。しかし、私は28歳の時からもう30年も巨大組織の改革ばかりやってきました。数えてみると企業も公的機関もそれぞれ40くらいにかかわってきました。なので、改革は日常です。「はい、頑張ります」ってふつうの感じです(といいつつ想定外の困難に直面し、きっと苦しむわけですが・・)。

今までやったうちで大掛かりで長期にわたるもの(全社改革とか経営統合など、あるいは大阪維新、新潟市など)がそれぞれ5つくらいあります。企業は大企業がほとんどで、私は重くて古くて巨大なものが得意です。公的機関では財団法人や大学、美術館、病院もやりました。変わったものだと国連海事大学(スエ―デンのマルメにある)。これはデンマーク、英国、スエ―デン、日本の4か国の中年4人組のチームワークに国民性が出てとても楽しかったです。

成功する改革を見極める

さて、改革は確かに難しい。しかし、何事もそうですが天職にしてしまうと覚悟もできて、早い段階で成果の見極めがつけられるようになります。

たとえば多くの経営コンサルタントは、社長と小一時間も話しただけで「うーん、この社長はまだ本気でないな」とか「この二代目オーナーは、もうすごい逸材。若いけど絶対化けるなあー」とか気が付くようになります。知事や市町村長でも話していくうちにこれがわかります。
そうなると、改革屋の仕事はやりやすくなります。

つまり、
(1)提言を受け入れて実行できる経営者(首長)と正しいタイミングに仕事をする・・相手とタイミングを見極めることが大事

(2)提言は「ちょっとそれはきついなあ、できるかどうかわからない・・」と経営者が少し悩むくらいがちょうどいい。高すぎる理想を押し付けてもいけないし、安きに流れてもいけない・・ほどよい緊張関係を作るといいわけです。

都庁のREADINESS

ちなみに都庁はどうか。(1)は申し分ありません。小池知事は、私が今まであった政治家の中でもダントツにセンスのよいリーダー、経営者です。

(2)はまだこれからですが、もともと優秀な都庁官僚がプレスの協力も得て、情報公開に背中を押されると頑張れるはずです。

なので、小池知事のもとでの都庁改革の成否は、いい話も悪い話も、ひたすらどんどん情報公開をしていくことにつきます。

ところで改革の当事者、実践の主役は、コンサルタントや委員ではありません。いうまでもなく経営者と社員、自治体の場合は知事と職員です。

私の方は、職員との共同チームを作って問題点を調べ、課題を体系的に整理し、改革案を出すところまでです。改革コンサルタントは、いわば医者の役割です。しかし、言いっぱなしでは進まない。案を出した後も状況を見続けます。

企業向けのコンサルティングの場合は提言を出す作業にコストがかかり、対価も発生します。しかし、成果を見届けない限り、仕事を終えたことにならないのです。だから実行可能な案を出さなければ絵に描いた餅を売ったことになります。しかし、安易すぎる案でもあまり成果が出ません。

なので、改革のコンサルタント(医者)はクライアント(患者)の体力、気力、体質などを見極めて、薬(提言)を出し、手術(M&Aなど)を提案します。その見極めと説得の術が、たぶんコンサルティングがアートだといわれる部分でしょう。

だからMBA的左脳だけのコンサルタントは大成しないといわれるわけです。

世の中にはいろいろなコンサルタントがおられます。なかでもIT技術や会計処理、廃棄物処理のノウハウを提供するなど実務的な方が多い。しかし、改革のコンサルタントは「相手に頼まれたのに、あえて厳しいことを言う」点が極めて特殊です。この点、村の和尚とか軍司に近いのかもしれません。

改革のコンサルタントは何が楽しいのか? 数か月、数年たって「あの時は、上山さんにズバッといわれて心底、不愉快でした。でも、数字は嘘をつかない。それで一から考え直して、全部組み立てなおしたら急に会社は変わったんです」といったセリフをきく瞬間が楽しい。

そして、そんなクライアント企業が華々しく新商品を出したり、業績を上げた時はものすごくうれしい。そういう時はコンサルタント冥利に尽きる思いがします。これは大学教員として教え子がオリンピックに出たとか、会社で表彰されたとかいうニュースを聞く喜びと同じです。

1/2ページ

最終更新:8/21(日) 7:10

アゴラ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

アゴラ-言論プラットフォーム

アゴラ研究所

毎日更新

無料

経済、ビジネス、情報通信、メディアなどをテーマに、専門家が実名で発言することで政策担当者、ジャーナリスト、一般市民との交流をはかる言論プラットフォーム