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アメリカ製日本憲法の真実 バイデン発言の波紋

Japan In-depth 8/21(日) 18:03配信

アメリカのジョー・バイデン副大統領が「日本の憲法はアメリカが書いた」と発言して、日本側に複雑な波紋を広げた。

ジョー・バイデン氏といえば、長年の政治歴での数々の失言で知られてきた。ただしまったくの根も葉もないという虚言や空言ではなく、事実をあまりにも粗雑に直入に語ってしまうという種類の発言が多かった。その結果、それらの言葉が責任ある立場の政治家としては放言、失言、あるいは暴言と断じられるわけだ。

今回の日本国憲法についての発言もごく単純な史実を政治的な反響への配慮なしに、あまりに荒っぽく述べたことが問題視されるのだろう。その発言の内容自体は歴史的な事実をきわめて率直に語ったというしか描写の方法がない。つまり正しい発言だったということである。

バイデン副大統領は8月15日、ペンシルベニア州での演説で共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏を批判する中であっさりと語った。

「核保有国になれないとする日本の憲法を私たちが書いたことを彼(トランプ候補)は知らないのか」

この発言は日本側ではとくに現行憲法を絶対に変えるなという陣営をとまどわせたようだ。朝日新聞などバイデン発言は「戦後の歴史を無視する」と書いた。そのうえに「憲法起草では日本の研究者たちの意見も参照された」とも書いていた。いずれも史実に反する反応である。朝日新聞は自らが歴史の糊塗を図ろうとするかのようである。

アメリカ側ではバイデン発言はなんの話題ともなっていない。日本の憲法をアメリカが書いたという事実など日米史に関心のある人たちの間では常識だからだろう。

バイデン氏はトランプ氏が日本の核兵器保有を容認とか奨励するとも受け取れる発言をしていることに反撃を加えようとしたわけである。そのためには日本国憲法をアメリカが起草したことまで持ち出して、反論の材料としたのだろう。だからバイデン副大統領は「トランプ氏はそんなことを学校で習わなかったのか」とまで揶揄していた。

バイデン発言は日本側では大きな波紋を広げた。民進党の岡田克也代表までがバイデン発言を「不適切だ」と決めつけ、その発言の「アメリカが日本国憲法を書いた」という指摘に対しても「最終的に日本の国会でも議論して憲法を作ったのだから、アメリカが書いたというのは不適切な発言だ」と非難した。バイデン副大統領の発言がいかにも誤っているかのような反応だった。

だが日本国憲法はまちがいなくアメリカによって書かれたのである。その作成のプロセスで日本人が活動したというのも、これまた根拠のない虚報だといえる。まして日本の国会が議論というのも、そもそも日本は当時、独立国家ではなく、占領地域だったのだから、そこにまともな意味での「国会」が機能しているはずがない。

私がここまで明言できるのは、日本国憲法の生い立ちについて長年、取材し、調査をしてきた結果があるからである。なかでも決定的なのは日本国憲法起草の実務責任者チャールズ・ケーディス氏から作成当時の状況を詳しく聞いたことだった。ケーディス氏の証言の全記録はそのまま今日にいたるまで保存してきた。

ケーディス氏にインタビューしたのは1981年4月、彼の弁護士としてのウォール街のオフィスでの長時間の質疑応答だった。

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最終更新:8/21(日) 18:03

Japan In-depth

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