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SMAP釈明会見のメンバー 「鼻から上が動かない」微表情が表していたものとは

HARBOR BUSINESS Online 8/21(日) 9:10配信

 みなさん、こんにちは。微表情研究者の清水建二です。

 今回は、今年1月に行われたSMAPの釈明会見から学べる伝達拒否の表情についてご紹介したいと思います。

 今年の1月にフジテレビの番組内でSMAPのメンバーが釈明会見をし、心新たに進んでいく旨を宣言していた様子を、多くの方が観られていたと思います。しかし、私たちが共通して抱いた感想は「違和感」だったのではないでしょうか。

 その「違和感」の内容を一言で説明すると、メンバーのポジティブな言葉に合わないネガティブな表情です。このとき、様々な非言語分析を専門とされる専門家も異口同音にそのことを指摘していました。私もフジテレビのニュース番組にて表情分析をさせて頂く機会があり、分析結果からほぼ同様の見解を述べさせて頂きました(詳細な表情分析をお知りになりたい方は、私のブログ記事をご参照下さい。こちらから⇒http://blog.microexpressions.jp/entry/2016/01/23/094423)。

 あの会見から学ぶことができることは、伝達拒否を示す表情です。それは、嫌悪の微表情と「鼻から上が動かない」表情です。本稿では、「鼻から上が動かない」表情に焦点を絞って説明しようと思います。メンバーの前向きな言葉と「鼻から上が動かない」表情との組み合わせが、なぜ、そして、どのように違和感を生み出すのでしょうか?そしてこの表情から私たちは何を学べるのでしょうか?

◆感情が死に、伝達の意図がない

「鼻から上が動かない」表情とは端的に言えば、眉が動かない表情のことです。通常のコミュニケーションにおいて、私たちは無意識に眉を上下に動かします。会話の相手や自分の言葉に関心があったり、同意を示したり、強調したいとき、眉を上げます。会話の相手や自分の言葉が難しい、不同意、注意を示したいとき、眉を下げます。これは会話のシグナルと言い、私たちは日々こうした動きを無意識に行っています。

会話の話し手にこれらの会話のシグナルがないとき、考えられる解釈は次の2パターンです。

①相手に本位を伝える意志がない

②感情が死んでいる

 ①の相手に本位を伝える意志がないというのは、端的に言えば、ウソをついているということです。なぜ①のとき眉が動かないのかというと、本音の感情や本心を押さえつけようとしているからです。ストレートに自分の想いを伝えようと思えば、自然に眉は動くのですが、それができない、もしくは、顔から本心が出てきてしまわないように、顔の動きをコントロールしているのです。

 ②の感情が死んでいるというのは、相手にメッセージや想いを伝える力が弱っているということです。相手に自分の想いを伝えたくても意気消沈している、伝えるメッセージがないけど話をしなくてはいけない状況にいる人の顔にも観られます。

 もちろん①②の両方が混ざり合っている場合もあります。

 あの会見映像の情報のみでは①なのか②なのか判断できませんが、いずれにせよ、視聴者にメッセージを伝える場におけるアイドルの表情としては、話されたポジティブな言葉と相まって、大きな違和感を生じさせたのだと考えられます。

◆眉が動かないで話をしている人には一声を

 みなさんの職場でこのような表情をした上司や同僚、部下の方はいませんか?②の場合、家庭で大きな悩みを抱えているのかも知れません。仕事に対するエネルギーを失っている、失いつつあるのかも知れません。

 もちろん眉の動きがないことを持って、その人がうつ病になるとか、仕事を辞めてしまう、なんて未来予測は出来ません(そうなる可能性もありますが)。しかし、普段そうではないのに、あるときそうした表情している人は、感情が弱っている可能性があるのです(単純に、体力的に疲労困憊という場合もあります)。

 困難な状況にいる人が、悲しみ表情や不安表情をしているのならば、まだマシです。外部に助けてシグナルを発する感情パワーが残っているからです。表情がなくなったとき、眉が動かなくなったとき、外部にそうしたシグナルすら発せられないくらい弱っている可能性があるのです。

「どうしたの?」「仕事手伝おうか?」そんな一声が救いになるかも知れません。ランチを一緒に食べに行く、サシで飲みに行く、特段、悩みを聞こうとしなくても一緒にいるだけで壊れかけた感情が癒されるかも知れません。もちろん、状況が深刻ならば、心療内科へ。心が疲れるのは人間の特権。心が弱いから心が疲れるのではなく、最も人間らしいからこそ、心が疲れる、私はそう思っています。

 目の前に人がいるのに、スマホやパソコン画面を越しに話をしていると、大切なリアルを失うかもしれません。

<文/清水建二・イラスト/西アズナブル>

【清水建二】

株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーション学を学ぶ。学際情報学修士。 日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、日本ではまだ浸透していない微表情・表情の魅力、実用例を広めるべく企業コンサルタント、微表情商品開発、セミナー等の活動をしている。また、政治家や芸能人の微表情を読んで心理分析するなど、メディア出演の実績も多数ある。著書に『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社がある。

【ビジネスで活用する微表情学第8回】

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/21(日) 9:10

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