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日本人旅ガールに見出した“心の境地”

Wedge 8/22(月) 12:20配信

[フランス中西部Le Puyからスペインの聖地Santiagoを経てMuxiaまで]
(2015.4.22-7.16 86days 総費用37万円〈航空券含む〉)

“紺屋の白袴”、理学療法士のアヤちゃん

 5月15日 午後3時頃、峠を越えるとロト川に沿って落ち着いた石造りの街並みが広がるカオール(Cahor)が見えてきた。市内のサン・ラティエンヌ大聖堂とロト川にかかるヴァラントレ橋が世界遺産に登録されている人口2万人ほどの中世からの都市である。

 やっと探し当てた公営巡礼宿は満員御礼。疲れた足を引きずって一時間ほど安宿探し。最終的に修道院を改装した宿舎に投宿。朝食付きで一泊16ユーロ。管理人のおばさんが「大部屋は一杯だけど小さい部屋はまだ空いているから」と案内してくれた。

 部屋には先客の小柄な女性が一人だけいた。挨拶するとなんと日本人だという。アヤちゃんは20代後半くらいか。一人で聖地サンチアゴを目指して歩いている。フランス国内で出会った日本人はアヤちゃん一人だけであった。

 部屋にある小さなテーブルでカオールの町で仕入れた赤ワインを開けてザックに残っていたパンにサラミを挟んで夕食を始めた。アヤちゃんは夕食を済ませたというので赤ワインを一緒に飲んでおしゃべりした。

 アヤちゃんは理学療法士で比較的自由に休暇が取れるので世界中をバックパッカーしているという。今回の旅では初日にフランスの女子と仲良くなり数日間無理して彼女のペースで歩いたのでふくらはぎの筋を痛めてしまったという。

バックパッカー旅そのものが悟りへの道か

 小柄で大人しそうな性格に似合わずインド、ネパール、バングラディッシュなど中央アジアとかハードな国々を歩いており秘境・辺境が好きだという。

 言葉が全く通じない現地の人達と身振り手振りでコミュニケーションしながらお互いにニコニコと笑顔で過ごすのが至福のひと時であり無上の歓びを感じるという。中央アジアの砂漠やインドネシアのジャングルで現地人が料理した素朴な料理を一緒に食べていると家族になったような幸せを感じるという。

 アヤちゃんは「巡礼は歩くのが大変だけど素晴らしい自然や人との出会いがあって毎日幸せを感じています」と穏やかに物語る。身の回りに存在する全てをあるがままに受け容れて慈しみ感謝するというというのはキリストやお釈迦さまが説いている“理想の境地”そのものではないか。

 私などは巡礼行の大半の時間は荷物が重いだの足腰が痛いだの天気が悪いだのと心の中で文句ばかり並べている。宿に入ればシャワーが冷たいとかベッドが汚いとか不満だらけである。アヤちゃんの“心の境地”は私のような凡俗には到達できない世界であると思った。

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最終更新:8/22(月) 12:20

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