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統計の前年比は便利だが、落とし穴に注意 (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 8/22(月) 6:00配信

たとえば、今月はオリンピックがあったのでテレビが良く売れたとして、1年後に「今月のテレビの売上げは前年比大幅マイナスではないか!」と社長に怒られたら、どう返答すべきでしょうか?

「前年同月がオリンピックによる異常値だったから今月の前年比がマイナスになっているだけで、サボっているわけではありません」という回答で、一応は正解なのですが、下手をすると「前年のオリンピックのせいにして言い訳をしている」と思われかねませんから、「2年前、3年前の同月と比べれば減っていません」としっかり答えましょう。

統計を見る時、前年比は便利です。しかし、前年比の数字にも数々の落とし穴があるので、注意しないと大きな判断ミスをしかねません。たとえば、不用意に部下を叱った社長のように。

■前年比は季節要因を考えなくて良いから便利・・経済初心者向け
統計数字を見る時に、「前年比で2%増えた」等々の表現がよく使われます。2月のチョコレートの売上げを1月と比べても、バレンタインデーの影響で増えているのか景気が良いから増えているのか、判断出来ませんが、前年の2月と比べれば、バレンタインデーの影響は考えなくても良いので、楽なのです。

12月はボーナスが出るから消費額が多い、ということも、前年比で見れば考えずに済みます。つまり、8月のアイスクリームの売上げも、前年比で見れば「8月は暑いから」という要因が除去できます。このように、季節要因(毎年同じ時期に起きることの影響)は、前年比を使えば考えなくて良くなります。だから、前年比が良く使われるのです。

■前年比は便利だが、要注意
前年比は便利ですが、様々な問題もあります。たとえば、上記のテレビの売上げも、前年同月に特殊要因があると、今月の数字が普通であっても前年比が大幅なプラスやマイナスになってしまうわけです。前年比が変な数字になった時には、2年前、3年前と比べてみると、今年の数字が変なのか、前年同月の数字が変だったのか、見当をつけることが出来ます。実際に割り算をしなくても、今年の前年比と前年同月の前年比を加えると、2年前同月比が計算できます。

売上げが昨年末まで順調に増加していた企業で、年初から売上げが減り始めたとします。1月、2月の売上げの前年比は、プラスです。プラス幅が縮まってはいますが、プラスには違いないので、売上げが減り始めたことに気付きません。半年ほど経過すると、前年比がマイナスになり、その時になってようやく売り上げが減っていることに気付く事になりかねません。これでは経営判断を誤ってしまうかも知れませんね。

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最終更新:8/22(月) 6:00

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