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北海を襲った「幸運」→「悲運」の暗転。 作新学院54年ぶりV

webスポルティーバ 8/22(月) 18:30配信

 まだツキはある。そう思った。

 1対0と北海がリードして迎えた4回表の作新学院の攻撃。無死満塁で打者が7番・篠崎高志という場面だ。

【写真】54年ぶりの優勝を飾った作新学院のエース・今井達也

 北海内野陣は前進守備を敷いた。中盤で1点リード。強打の作新打線と準決勝までの4試合を一人で投げ抜き疲労の色が濃いエース・大西健斗の状態を考えれば、1点を守るよりも最少失点にとどめる守り方を選択した方がいいと思われたが、北海は前に守った。

 ただ、それはベンチの選択。どうこう言うつもりはない。

 それよりも、気になったのが北海の一塁手・川村友斗の守っている位置。前進守備を通り越して、”超前進守備”なのだ。一般的な前進守備の位置よりもかなり手前。チームによっては、無死一、二塁の場面でバントシフトをかける際の一塁手の位置ぐらいの場所だ。

 じつは、川村がここに守るのはこの場面だけではない。この大会中、ずっとその”超前進”の位置に守っていた。聖光学院との準々決勝では3対2と聖光リードで迎えた3回裏1死一、二塁の場面。打者が右のパワーヒッターの鎌倉誠で、バントの構えがなく、カウント3-1のバッティングカウントになってもそこに守っていた。7対3と北海4点リードでバックホームの必要がない9回裏の一死満塁、打者が2番・小泉徹平という場面で守っていたのも同じ場所だった。

 いずれも守備位置が致命傷になりかねない場面。だが、北海にはツキがあった。鎌倉の打球は三塁線を襲ったが、サードの佐藤佑樹が横っ飛びで好捕してダブルプレー。小泉の打球も快音を残したが、痛烈な打球はショート正面に飛んで併殺で試合終了になった。試合後、聖光学院の横山博英部長は言っていた。

「ファーストが浅いのはわかっていた。でも、負けるときって、そこに打球が飛ばないんだよね」

 そして、決勝の4回表無死満塁。篠崎の打球が川村の前に飛んだ。

 ボテボテの弱い当たり。まさに、浅く守る川村の守備位置でなければ捕れない場所に、ゴロが転がってきたのだ。

 これ以上ないほど、ツイているといっていい。

 ところが、次の瞬間、北海の運命は暗転する。川村の目の前に転がっていたゴロは、ファーストミットを差し出そうとする川村から逃げるように、一塁側のファウルエリアにイレギュラーバウンドしたのだ。

 運が逃げていっただけではない。悪夢までやってきた。

 川村のファーストミットをすり抜けた打球を、球審の古川がフェアと判定した。一塁ベースよりはるか手前。川村が触っていなければ、ファウルボールになる。一塁塁審の野口がファウルのジェスチャーをしようと両手を上に挙げかけたそのとき、古川球審は「ミットに触った」とジャッジをした。三塁ベンチから真正面に見える平川敦監督が抗議の伝令を送るが、判定は覆らない。

 川村が「グローブに当たっていないです」と言い、打った篠崎も「触っていないのは見えました。ラッキーでした」と言う打球が、フェアとなり、タイムリーエラーとなってしまったのだ。

 たった1点。まだ同点というかもしれない。だが、これは大きな意味のある1点だった。

 なぜなら、大西と篠崎の勝負は完全に”篠崎の負け”だったからだ。

 無死満塁。

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最終更新:8/23(火) 15:38

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