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Brexitに続いて伊も政情不安?

Japan In-depth 8/23(火) 12:10配信

リオ・オリンピックが終わって8月も下旬となり、国際政治が再起動しそうなのだが、今週最も気になるのは欧州情勢だ。

EU離脱の是非を問う国民投票が英国で実施されたのは6月23日。あれから二カ月、件のBrexit騒動はどうなったか。当時はフランスやイタリアでの反EUの動きも懸念されたが、あの話は一体どうなったのだろう。

 実は、どちらも全く解決していない。あれだけ問題だと叫ばれていたのに、欧州はさっさと夏休みに入ってしまう。この精神的「余裕」には脱帽するばかりだが、筆者が特に気になるのはイタリアの状況だ。今レンツィ政権は、上院の権限を大幅に縮小する一方、下院には新たな投票方式を導入する一連の政治改革案を提唱している。

 改正選挙法では、下院議員選挙で40%を得た政党に下院議席の54%が割り当てられる。また、現政権は、上院議員数を3分の一以下に削減し、予算承認権や内閣不信任権を剥奪するなど、上院の国政関与を制限する憲法改正案も検討中だ。レンツィ首相はこれらを「イタリアの政治的安定性を確保する」ための改革だと説明している。

 憲法改正の是非を問う国民投票は本年10月以降にも実施される。当初レンツィ首相には勝算があったのだろうが、今や野党側、特に排外ナショナリズム傾向の強い「五つ星運動」などが優勢とも伝えられ、こうした勢力が下院で主導権を握る可能性すらあるという。英国のキャメロン首相と同じ誤りを犯しかねないということか。

 今懸念されているのはレンツィ首相がこの国民投票に破れる可能性だ。同首相は国民投票前イタリアに減税と財政支出増を認めるようEU各国に働きかけているが、果たしてうまく行くだろうか。この政治的賭けに失敗すれば、レンツィ内閣退陣だけでなく、イタリア全体の政情不安が懸念される。今年後半は仏伊が要注意のようだ。

〇欧州・ロシア 
 レンツィ首相が22日に独仏首脳と、31日には再び独首相と、それぞれ会談する理由は既に述べた。欧州ではかくも懸案が山積みのはずなのに、休暇は仕事より大事なのだろうか。ちなみに、独首相は26-27日にポーランド、オランダ、スエーデンなど9カ国の首脳と会談する。同時期にジュネーブで米露外相会談も開かれる。
〇東アジア・大洋州
 24日に日中韓三カ国外相会談が開かれることが、22日漸く発表された。日中は尖閣、日韓は慰安婦、中韓はTHAADと、問題は目白押しだから、今回は一連の会談開催だけで良しとしなければならないかも。22日から恒例の米韓合同軍事演習が行われる。当然、北朝鮮は反発しているが、彼らの出来ることには限りがある。
〇中東・アフリカ
 米国が精力的に動き出した。23日からは司法省高官をトルコに派遣、ギュレン師の「引き渡し」について議論する。24-25日にはケリー国務長官がGCCの外相らと会談するためジェッダを訪問するが、議題はシリアとイエメンらしい。前述の通り、ケリー長官はこの後ロシア外相との会談を予定しているが、劇的な進展があるとは思えない。
○アメリカ両大陸
 トランプ陣営でまた選挙戦責任者が交代した。この時期のこうした人事は普通ならその陣営の「負け戦」の証明なのだが、今年はどうだろうか。それにしても、最近のトランプには精彩がない。「紙を読む」トランプは退屈だし、「即興で喋る」トランプは危なっかしいのだが、つい「怖いもの見たさ」で聞いてしまう。こんなこと、いつまで続くのか。
〇インド亜大陸 
 22日から米空軍省長官が訪印する。同長官はその後インドネシア、シンガポール、フィリピンを訪問する。米外交は実に判り易くて良い。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

最終更新:8/23(火) 12:23

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