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緩い連携、これが日本型経営スタイルのキーワード --- 岡本 裕明

アゴラ 8/23(火) 16:30配信

バンクーバーの日系社会。在留邦人数では33000人規模で世界では9位レベル。また戦前、日本からの移住者が多かった当地ではカナダ国籍者となった日系人も多く複雑な日系社会を構成しています。そのため、日系の団体も百数十ありますし、今でもどんどん増えているはずです。若くない私が来週、「バンクーバー若手放談会」を主宰し、ドラキュラのごとく、若いエキスを吸い取る予定ですが、このような個別の集まりも相当多いはずです。

その中で経済団体はざっくり10団体あり、それを束ねる協議会なるものがこの数年、全体のレイヤー作りをし始めています。過去、何度も「団体が多すぎる。合体すべきである」と意見が出ては消え、画策しては没となってきました。なぜか、といえばどんな歴史ある団体でもその創始者のポリシーが生きており、そのポリシーを今の理事や役員が勝手に変えてはいけないという不文律があるからです。他団体と合体出来ないそのフレキシビリティの無さはNPOだからこそなのです。利益団体であれば「利益のため」という名目でお金に色はつかないという発想があります。が、宗教団体が合併しないのと同様、NPOもそれは創始者のポリシーがそこに生きているともいえるのです。

日経ビジネスの特集、「新グループ経営論、縛らず統治せよ、LINE、日立に見る成長のカギ」とあります。この雑誌を手にして、表紙の特集のタイトルを目にした時、「日経ビジネスさん、あなたもついにこれに気がついたのね」と思わず、にやりとしてしまいました。

ひと月ぐらい前、このブログで日本の不思議なシステムに稟議制度があると指摘しました。みんなで回覧し、同意し、担当は質問攻めにあうその理由は「上司への説明のため」であります。挙句の果てにその稟議内容が失敗した場合、だれが責任を取るのか、といえば起案者なのですが、同意したほかの部署の責任はどうなのといつも宙ぶらりんになってしまうのが日本の管理社会であります。

本社とは子会社と支店を「鵜飼」のごとく紐で操りながら絶対に親元から離れないように束縛しています。伝家の決まり文句、「子会社の身分だから」あるいは「連結対象の会社なんだから」お前らの自由にはさせない、これが日本の典型的管理スタイルでありました。

ところが日経ビジネスではそのスタイルは明らかに変わりつつあるとしています。ようやく陽が上るのでしょうか?かつて、子会社には「飛ばされる」と表現しました。「どうしても子会社のこのプロジェクトをやらせろ」という威勢の良い人は案外少ないものですが、なんとファナックの稲葉清右衛門氏は富士通から独立ののろしを上げたそうです。ファナックは押しも押されぬ工作機械(NC)の世界ナンバーワンのメーカーで今は親もとの富士通と比べて時価総額は4倍になっています。

日本の企業人事政策は子会社、関連会社を人材の吐き出し口としてのポジショニングとしてきました。ある程度の年齢になれば肩書が必要、本社の席も少ない、そうなると子会社、関連会社に出向することでその社員の雇用を守るという独特のスタイルをとってきました。これでは人事のベクトルが本社に向かってしまい、子会社の独自の成長に弊害が生じてしまいます。

お宅の子会社の社長さん、年中、親会社にご挨拶と称して情報収集に来ていませんか?そんなことより子会社の成長のために1分でも余計に時間を使うべきなのです。これは人事が「行きたくない人間を子会社に行かせた」ことで本社に足を向けて寝られない関係が生じています。

子会社には優秀でパッションを持った人間を出せ、これが緩い関係のもと、発展できるキーワードではないでしょうか?「キリンビール高知支店の奇跡」はビジネス本としては大きな話題になりましたが、私が思う一つの理由は高知という本社とあまりにも遠いところでは本社の顔色など見ている場合ではなく、そこで踏ん張るしかないというギリギリに追い詰められたものが背景にあったのだろうと思います。私はこれも緩い関係が生み出した成功だと思います。

アメリカ型経営はM&Aです。さしずめ、弱肉強食、狩猟型人間の典型的なスタイルです。これを取り入れた日本は必ずしもすっきりしているとは言い難い気がします。銀行なんていつになったらその出身母体の力関係からサヨナラできるのでしょうか?日本には日本型のまとまり方があります。それが緩い連携ではないでしょうか?

農耕型の日本人が他人の田んぼに対して「ここはうちのところを通る水を引いた田んぼだからお前は俺の配下に入れ」というようなものです。そんなことしたら段々畑の上の人が偉くなってしまうけれどそんなことは日本の歴史ではないはずです。

日本はアメリカの影響を受け続けました。それでずいぶん勉強もしたし、発展もしましたがそろそろ、日本の土壌にあうやり方を見出すべきではないでしょうか?日本の経営改革、まだまだその改善の余地は相当残されているようです。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、みられる日本人(http://blog.livedoor.jp/fromvancouver/) 8月22日付より

岡本 裕明

最終更新:8/23(火) 16:30

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