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アジア予選を勝ち抜いたスタートアップ27社、頂点に立ったのは?

Forbes JAPAN 8/23(火) 8:30配信

6月7日、東京・大手町にアジア予選を勝ち抜いたスタートアップ27社が集結した。2度のピッチを経て頂点に立ったのはー。



「非常にハイレベルな戦いでした」

6月5-7日に都内を中心に開催されたスタートアップイベント「AEA2016」で、最終審査の審査員を務めたグローバル・ブレインの百合本安彦社長は結果発表後、こう振り返った。

AEAは一般社団法人フューチャーデザインセンターが主催するスタートアップのビジネスコンテストで、2012年から始まった。日本や中国、台湾、香港、韓国、インド、オーストラリア、ロシアなど14の国と地域から27社がエントリー。地域予選を勝ち抜いた猛者が、2度のピッチを通して頂点を競った。

日本からは、ウェアラブルカメラのブリンカム(Blincam)、バイオメディカルのレパトア・ジェネシス(Repertoire Genesis)、インターネットサービスのスペクティ(Spectee)、スタートバーン(Startbahn)の4社がエントリーしたものの、惜しくもファイナルには残れなかった。

閉会の挨拶に立ったフューチャーデザインセンター幹事の北畑隆生氏は「受賞者に日本企業が1社も残らなかったということは、審査が厳正に行われたということ」と自虐気味に語り、「日本はベンチャーが育たない社会だと言われてきたことを象徴するできごと」と嘆いてみせた。百合本氏は、「クオリティは高いが、プレゼンが弱い。今後、海外での資金調達には技術力を伝える力が必要になる」と、プレゼンテーション力向上の必要性を説いた。

では、新進気鋭のスタートアップの大会で、勝ち残ったのはどのような企業だったのか?

バイオ系、医療系が花盛り 高度な技術競う展開に

「中国では5000万人の患者が腰痛に悩んでいる」と話すのは、GIMER Medical(ジマー・メディカル/台湾)の国際担当ディレクター、シャロン・ファン。慢性背部痛に電気的な刺激を与えることで痛みを緩和する技術を発表、3位にランクインした。

慢性背部痛の緩和のために電気刺激を与える機器自体は、従来から使われてきた。ただ、従来品はコストが高いために普及が進まず、さらに3年程度でバッテリー交換が必要になるといった課題があった。

それに対して同社はバッテリーを排除して装置全体を小型化。また周波数のパラメータを見直して、効果の持続力を高めた。現在は米ジョンホプキンス大と共同で動物実験を進めており、今後はアメリカ、中国市場での拡販をねらう。年内に600万から1000万ドルの資金調達を実施し、アメリカの外来患者向けの販路開拓に資本を集中投下する考えだ。

2位にランクインしたのも、医療系のスタートアップだ。DRD Biotech(DRDバイオテック/ロシア)は、脳損傷の早期発見に役立つ即時検査キットを開発した。

同社のアンジー・ジンビフCEOは「外傷性脳損傷は、アメリカだけでも年間167億ドルの医療コストがかかっている」と指摘する。「外傷性能損傷の検査にはMRIを使用するが、MRI検査は高額。さらに軽度の脳震盪の場合には使用されないことも多い」(ジンビエブCEO)。同社はこうした問題に対処するため、20ドル以下で検査できる試薬を作った。

この検査キットは、血糖値診断キットのように、少量の血液から軽度の脳損傷を発見できるのが特徴だ。2017年にはロシアとアメリカで臨床試験を開始する予定で、18年にロシアで、翌19年にアメリカで発売する計画だ。
--{ 生体認証を活用し入国審査をスピードアップ}--
1位に輝いたのは、マレーシアのボーダーパス(BorderPass)。同社が提供するのは、入国審査場にできる長蛇の列を解消する技術だ。

現在、紙ベースで運用されている入国審査用紙をデータ化してクラウドで管理し、渡航者が航空券を予約した段階で目的地の当局に送信するというもの。この技術を使うことによって、当局は事前に渡航者を審査できるようになり、手続きの迅速化を図ることが可能になる。渡航者にとっては、入国審査場での待ち時間が減り、スムーズに通過できるようになるのが魅力だ。

同サービスのもう一つのポイントは、高精度の本人認証システムを導入している点だ。非接触技術を使った指紋認証や、高精度の顔認識システムを採用しているのが強み。顔認識システムは「目視では識別が難しい一卵性双生児の双子でも見分けることが可能」(アリフCEO)だとしている。

同社はすでにエアアジアと提携しており、今後も航空会社の提携先拡大を進める。アリフ氏は「アジアの空港の38%は飽和状態。今後ますます経済が発展すれば、利用者はもっと増えるはず」と話す。今後はアセアン諸国での普及を目指す方針で、アリフCEOは「2年後には50万ユーザーをカバーしたい」と意気込んでいる。

医療系スタートアップの存在感が目立ったAEA2016

1. ボーダーパス/マレーシア

CEO:Faisal Ariff
サービス:入国審査用紙をデータ化し、空港での入国審査を迅速化するサービス

マレーシアのボーダーパスは、クラウドと生体認証を組み合わせ、空港の入国審査を厳格かつスピーディーに改善する仕組みを提案。すでにエアアジアと提携しており、今後はアセアン諸国での拡大を目指していく方針だ。

2. DRDバイオテック/ロシア

CEO:Anzhey Zhimbiev
サービス:臨床現場即時検査キットを用いた脳損傷の診断改善、早期発見

ロシアのDRDバイオテックが提供するのは、脳損傷を早期発見するための検査キット。簡単な血液検査によって検査コストを引き下げ、また出血を伴わない軽度の脳損傷を発見できるようにした。2021年に3000万ドルの資金調達を目指す。

3. ジマー・メディカル/台湾

国際担当ディレクター:Sharon Fan
サービス:慢性の背部痛、がんおよび手根管症候群の痛みを緩和する電気的刺激システム

台湾のジマー・メディカルが提供するのは、慢性背部痛に代表される痛みを緩和する技術。中国には5000万人の患者がいるといい、大きな市場が見込まれる。年内に600万から1000万ドルの資金調達を計画。アメリカ、中国市場での営業力を強化する。

Forbes JAPAN 編集部

最終更新:8/23(火) 8:30

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