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ゾンビ企業の大量失業者、「一帯一路」が受け皿に?

JBpress 8/23(火) 6:10配信

 7月末、中国人民大学の研究機関である国家発展与戦略研究院が、中国の「ゾンビ企業」に関する研究報告を発表した。

 ゾンビ企業とは、実質的に経営破綻していながらも存続している企業を指す。報告によると、中国の工業企業34万社のうちゾンビ企業は約8%(=2万7000社、2013年)を占める。国有企業(集団所有企業含む)が3割以上を占める2865社の上場企業においては、14%にあたる412社がゾンビ企業である。業種別にみると、鉄鋼業や不動産業、建築内装業などに集中しているという。

 上場企業におけるゾンビ企業の数は2001年から増え続け、2013年にピークに達した。この間、中国では住宅ブームが起き、住宅建設に必要な鉄鋼、セメント、ガラス、またそれらの生産に必要な石炭の大量生産が行われ、国有企業を中心に業界が拡大していった。だが住宅ブームが収束すると、企業は負債と過剰な生産設備を抱えて経営が行き詰る。そうした企業には、政府による財政出動、補助金、金融機関による融資がつぎ込まれており、それが今ゾンビ企業として生きながらえているというわけだ。

 中国政府は経済改革の一環として、ゾンビ企業を淘汰する方針を打ち出している。それに伴い、2016~2017年にかけて、中国の炭鉱、鉄鋼、セメント、アルミニウム、ガラスなど5つの業界で、3割の労働者が失業すると推測されている。その数だけで1000万人をゆうに超える計算だ。他の業界を加えればさらに失業者の数は増えるだろう。

■ 国外に活路を見出す労働者たち

 中国の東北部、遼寧省に鞍山市という都市がある。「鉄の都」の異名で知られ、有力国有企業の鞍山鉄鋼集団が一大拠点を置く都市だ。この鞍山市もやはり過剰な生産設備を抱え、失業問題が深刻化している。今年3月には、鞍山鉄鋼集団が16万人の職工を10万人に削減するという人員削減のニュースが流れた。

 仕事を失った労働者はどうするのか。鞍山市では興味深い動きが見られる。国外に活路を見出す労働者が増えているのだ。

 中国には、国外への赴任や移民などを扱う機関として各地に「対外サービスセンター」が設置されている。鞍山市のセンターがまとめた統計によれば、2015年に出国した労働者や技術者は前年比18%増加の6360人に上ったという。

 受け入れ先は主に、中国の大型国有企業の国外拠点である。現在、中国政府が直接管理する「中央企業」が、続々と国外でインフラ建設プロジェクトを立ち上げている。失業者が増える一方の国内とは異なり、中央企業が事業展開する海外では、機械の操作や建築物の設計、建設現場での労働などに従事する中国人労働者の募集が増えているのだ。

 金融系シンクタンクの中国人研究員は、この動きの背景を次のように説明する。

 「習近平政権は、中国と周辺国との国境に道路や鉄道を設け、経済をつなげる『一帯一路』構想を打ち出しています。その構想に沿って進められているインフラ建設プロジェクトが、今後リストラされた中国人労働者の受け入れに大きく貢献する可能性があります」

 この研究員によれば「一帯一路構想には、国内で過剰となった生産設備や労働者を沿線国に拡散させる狙いもありました」と言う。その狙い通りになりつつあるというわけだ。

■ 労働者にとっても願ったりかなったり

 中国が「一帯一路」構想の対象とする国は71カ国におよぶ。だが、民族・部族問題、宗教問題、政治闘争や内乱など、途上国のリスクは高い。近年はイスラム過激派組織・イスラム国(IS)によるテロが活動範囲を拡大させている。71カ国のうち「30カ国以上は危険な状態にある」との分析もある。

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最終更新:8/23(火) 6:10

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