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5年で4700社!スペイン・カタルーニャから続々企業が撤退中

HARBOR BUSINESS Online 8/23(火) 9:10配信

 1992年にスペイン・バルセロナで開催されたオリンピックがバルセロナを国際都市として成長させる礎となった。そのバルセロナで、この3-4年独立気運が高まっているが(参照/「バルセロナがスペインリーグでプレーできなくなる!? スペインにある『独立問題』」)、それと反比例するかのようにカタルーニャから企業の撤退が増えている。撤退の理由は、独立すればEUからの離脱を余儀なくさせられる、それは国際企業にとっては共同市場以外の地域で商業活動をする意味となり、魅力がなくなるからである。しかも、EUからの産業奨励支援金も受けられなくなる。

『Vozpopuli』紙によれば、<2011年から現在まで4700社が撤退した>という。その中の<2000社以上がマドリードに移転し>、それ以外の地方として<バレンシア州に478社、アンダルシア州473社、バレアレス諸島330社、アラゴン州312社>というように移転先が分散している。勿論、カタルーニャが完全に魅力を失ったのではない。同期間中に<3000社がカタルーニャに進出>してはいる。すなわち、実質<1700社の企業数をカタルーニャは失った>ことになる。一方のマドリードは同期間、実質<2380社が増加し>たという。

◆独立問題だけが要因ではない

 最悪の年は2014年で、年間で数千社がカタルーニャから撤退したという。しかし、その後もカタルーニャを離れる企業は後を絶たない。プッチャモン現知事になって、<今年半年で500社が撤退した>という。その内の<214社はマドリード、60社がアンダルシア、51社がバレアレス諸島、51社がバレンシア>にそれぞれ移転したそうだ。(参照:『Vozpopuli』)

 独立問題に加え、企業にとってカタルーニャの魅力が半減していることに税金問題がある。カタルーニャ州は現在財政難にあるために企業に有利な税務上の条件を提供できない立場にある。その面では、マドリードの方が企業にとって魅力ある条件を提供しているという。また、公的な認可などを必要とする場合も首都のマドリードに本社を構える方がメリットは多いとされている。

◆独立の痛みを理解していない政治家たち

 18世紀初頭までバルセロナを首府とするカタルーニャ地方は独立した自治制度を維持していたというのが独立支持派の根底にある。

 カタルーニャの独立機運を煽ったのがEUの、特に南欧を襲った財政危機である。スペインのGDPの20%を担うカタルーニャ州が、中央政府から受ける交付金の額がそれに見合わないものだというのが更に独立気運を煽る根拠となっている。独立すればカタルーニャ政府が歳出入の収支を独自に賄って財政難も避けることが出来るという考えで、カタルーニャ州政府は政治的に問題を解決して独立しようと考えた。

 しかし、よくあることで、政治家の多くが企業経営を理解してないことが問題なのだ。独立すれば企業もより発展すると思っている。そこに至るまでのプロセスで企業が犠牲を伴うことが政治家には理解できないのである。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/23(火) 9:10

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