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東京駅の顔、八重洲ブックセンターの意外なオーナー

HARBOR BUSINESS Online 8/23(火) 16:20配信

◆ビジネス書の蔵書数、売上ランキングの信頼度は日本一

 八重洲ブックセンターは首都圏を中心に13店舗を展開する書店チェーンです。日本有数のビジネス街・八重洲にある旗艦店の本店は、150万冊もの膨大な在庫量を誇る8階建ての大型書店で、特に土地柄、ビジネス書の蔵書数や売上ランキングの信頼度は日本一とも言われています。なお余談ですが、八重洲という地名は、徳川家康の外交顧問ヤン・ヨーステン(和名:耶楊子(やようす))に由来しています。

 創業は1978年、スーパーゼネコン・鹿島建設の「中興の祖」であり、政治家としても活躍した鹿島守之助の発案で、鹿島の旧本社ビル跡地に開業したのがその始まりです。鹿島の経営を立て直すために掲げた、事業成功秘訣二十箇条の第6条にも「本を読む時間を持て」とあるように、無類の読書家として知られた守之助が夢に見た「どんな本でもすぐ手に入るような書店」「我が国で出版された全ての本を常備する世界一の書店」こそが八重洲ブックセンターでした。

◆東京駅周辺の人の流れを一変させた日本最大の書店

 自社ビルの優位性を最大限に活かして、当時流通する20万点の本を買取仕入で常備することを目指した、八重洲ブックセンター。その当時、日本最大の書店といえば、1964年に竣工した紀伊國屋書店新宿本店で、書店サイズが20坪~30坪の時代に600坪もの規模を誇っていたわけですが、八重洲ブックセンターはなんと1300坪、日本書店組合連合会の反対で、縮小してのスタートでしたが、それでも他を圧倒するものでした。

 誰も見たことのない理想の本屋を目指してオープンした八重洲ブックセンターは大きな話題を集め、開店4日目までの来店者数で12万人、1年間では1000万人、500万冊もの本が販売され、夜間人口の少ないビジネス街だった東京駅八重洲の人の流れを一変させたと言われています。なお、残念なことにその理想の書店を夢見た守之助は開業を見ることなく、1975年に亡くなっています。

◆トーハンの経営参加、八重洲の再開発に光明を見出せるか?

第40期決算公告:6月13日官報88頁より

当期純損失:△1億3060万円

利益剰余金:29億6984万円

過去の決算情報:詳しくはこちら http://nokizal.com/company/show/id/1422790#flst

 このように誕生し、現在でも都内有数の老舗の大型書店として東京駅前で存在感を放つ八重洲ブックセンターですが、2016年7月、出版取次大手トーハンから49%の出資を受け、新体制に移行しています。なお、トーハンは2013年に阪急電鉄系のブックファーストも子会社化しています。また、2008年には丸善が、2009年にはジュンク堂が大日本印刷の傘下に入っており、この20年間で市場が4割縮小したと言われる出版不況の影響は書店業界にも直撃しています。

 ただ、ブックファーストは阪急電鉄から完全に離れましたが、八重洲ブックセンターと鹿島はそうではありません。また、八重洲ブックセンターのある東京駅前の八重洲二丁目は、今後大規模な再開発が計画されており、23年度の竣工を目指して、地下4階地上46階高さ240mの巨大複合施設が誕生する予定です。その準備組合には鹿島も参画しており、かつての「夢の本屋」は物語を今後も紡いでいけるのか、老舗の意地を見てみたいところです。

決算数字の留意事項

基本的に、当期純利益はその期の最終的な損益を、利益剰余金はその期までの累積黒字額or赤字額を示しています。ただし、当期純利益だけでは広告や設備等への投資状況や突発的な損益発生等の個別状況までは把握できないことがあります。また、利益剰余金に関しても、資本金に組み入れることも可能なので、それが少ないorマイナス=良くない状況、とはならないケースもありますので、企業の経営状況の判断基準の一つとしてご利用下さい。

【平野健児(ひらのけんじ)】

1980年京都生まれ、神戸大学文学部日本史科卒。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの『SiteStock』や無料家計簿アプリ『ReceReco』他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業、全国の企業情報(全上場企業3600社、非上場企業25000社以上の業績情報含む)を無料&会員登録不要で提供する、ビジネスマンや就活生向けのカジュアルな企業情報ダッシュボードアプリ『NOKIZAL(ノキザル)』を立ち上げ、運営中。

<写真/Ryohei Noda>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/23(火) 16:20

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。