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沖縄防衛局辺野古事務所のこっそり移転で広がる波紋――新基地利権調整団体で内紛か

週刊金曜日 8/24(水) 13:39配信

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐって国がふたたび沖縄県を提訴し、高江(東村)のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設も強行しようとしているさなか、沖縄防衛局の辺野古事務所が近所の別の建物に引っ越しをしていたことがわかった。元の事務所は老朽化が進んでいたため、防衛局は移転先を探していた。引っ越し作業は7月23日からはじまり、8月1日から業務を開始している。

 事務所が移ったのは最近完成したビルの一室だが、実は、このビル建設と事務所移転に関して地元で業者らが紛糾しているという。

 施工したのは名護市に隣接する宜野座村に本社を構える(株)新都市エネルギー。法人登記には「地域循環型の農業の推進と活性化」などと記されているが、役員には同村の仲程土建(株)や(有)玉城電気設備の社長らが入っている。事実上のディベロッパーである。

 この4月、記者が工事現場に赴いた時には「新都市エネルギー自社ビル新築工事」と看板に書かれていた。ビル所有者は新都市エネルギーになるが、どういう経緯で建設するに至ったのか? 代表取締役社長の玉城進一氏に聞くと「CSSから依頼があったので建設した」と答えた。CSSとは一般社団法人キャンプ・シュワブ・サポートのことで、辺野古新基地関連工事を地元の業者が優先的に受注できるよう利権調整する組織だ。辺野古区(嘉陽宗克区長)や名護漁業協同組合(古波蔵廣組合長)ら地元有力組織もCSSに数百万円ずつ拠出している。

 CSSが新都市エネルギーに「建設を依頼した」というのは事実なのか。CSS相談役の藤沢一馬氏に話を聞いた。

「ビルは新都市エネルギーの玉城さんたちが、自分たちや辺野古工事関係者が半宿泊施設として使えるようにと構想したものです。辺野古区の土地ですから、地元の調整役を担うという形でCSSが(運営)管理者になることになりました。防衛局はまったく関係ないし、引っ越すはずもありませんでした。ところが7月に入って辺野古の工事が部分的に再開されることになったため、防衛局から『入居してもいいか』とCSSに打診があったのです。それでCSSはOKを出した。防衛局が入居することになったのは偶然です」

 建設理由について両人の説明には明らかな食い違いがあるが、それには理由があるという。

【最初から防衛局が関係か】

 2月のCSS理事会では次のような議論が起きたという。CSS関係者が明かす。

「出席者の1人が『CSSは地元(名護市)の業者が優先的に仕事をとるために存在しているのに、なぜ隣町(宜野座村)の業者が建設することになったのか。CSSが機能していないではないか』と声をあげたのに対し、進める人たちは『防衛局がそれを望んでいるのだから、われわれが関知することではない』と一蹴したのです」

 地元の業者が手がけるはずの仕事を他の市町村の業者にとられたことに異論が出たのだが、抑えられたという。事情通が明かす。

「実は、ビル建設を新都市エネルギーに担わせ防衛局に入居させるまでのスキームを描いたのは藤沢氏なんです。はじめから防衛局と“密約”を交わしていました」

 藤沢氏は東京・市ヶ谷にある(株)パシフィック総研(長野俊郎代表取締役会長)の“ひとり沖縄支社”のような動きをしている。同社は佐藤正久参議院議員事務所と同じビルに事務所をかまえている。ちなみに辺野古のビル建設にかかわった仲程土建の正面玄関には佐藤氏の看板が立てられている。

 辺野古のビル建設と防衛局の移転スキームを描いた疑惑について、藤沢氏は記者の取材を否定した。藤沢氏に同調する古波蔵氏や名護市議の宮城安秀氏も記者の取材に「知らない」と言い通した。

 本誌は沖縄防衛局に対し、辺野古事務所の引っ越しについて「いつ入居を決めたのか」「どういう理由、経緯で決めたのか」などを複数回にわたって質問したが、一度も回答はなされていない。

(野中大樹・編集部、8月5日号)

最終更新:8/24(水) 13:39

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