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赤ちゃんの命を最低賃金以下で預かることは許されるのか? ~数時間の研修で「ボランティア」が赤ちゃんを預かる危険性について~ (榊裕葵 社会保険労務士)

シェアーズカフェ・オンライン 8/24(水) 5:00配信

先日、地方自治体が仲介する子供の一時預かり事業で、預った子供を死亡させてしまったボランティアの女性が、刑事責任を追求されることになったと報じられた。

「大阪府八尾市が仲介した子供の一時預かり事業で2010年、生後5カ月だった女児がうつぶせに寝かされ、その後死亡した事故で、府警八尾署が業務上過失致死容疑で女児を預かった女性(56)を書類送検したことが19日、同署への取材で分かった。
「うつぶせ死」で書類送検=育児支援の女性、業過容疑-大阪府警 時事ドットコム 2016/08/19」

本事件では、民事裁判でも責任の所在を巡って争いが続いているようである。

■ファミリーサポートセンターの問題点
この子供の一時預かり事業は、「ファミリーサポートセンター」という地方自治体が設置する仕組みの中で実施され、子育ての手助けが欲しい人(依頼会員)と手助けができる人(提供会員)が、それぞれ会員としてファミリーサポートセンターに登録し、センターは相互のマッチングを行うというものである。

しかしながら、私は、今回報道されたような事件を踏まえ、ファミリーサポートセンターが行う子育て支援制度には、いくつかの問題点があると感じた。

そう感じた一番の理由は、冒頭の八尾市の事件においては生後5か月の子供を「うつぶせ寝」にしてしまったことが事故原因であったということだが、加害者となってしまったボランティアの女性は、小さな子供のうつ伏せ寝が危険であることに対する認識はなかったということである。

保育所などで参照されている国の保育指針においても、うつぶせ寝は危険であることは明記されているそうで、ボランティアの女性がうつぶせ寝の危険性について知らなかったということは、ファミリーサポートセンターの提供会員に対する教育研修の不足であるといわざるを得ない。

■たった数時間の研修だけで他人の子供を預る
ファミリーサポートセンターでは、提供会員として登録するためには研修を受けることが必要となっているが、研修の内容は、各ファミリーサポートセンターの裁量に委ねられており、「一般財団法人 女性労働協会」が平成27年に行った調査によると、1回当たりの研修実施時間は1~5時間未満が全体の35.5%と最も多く、講習会1回あたりの日数も1日だけというのが33%と最も多かった。すなわち、数時間の簡単な講習を受けるだけで依頼会員の子供を預っているという実態があるわけである。

厚生労働省の通知で提示された提供会員養成講習のカリキュラムは、全9項目で24時間ということであるが、全てのカリキュラムを実施しているファミリーサポートセンターは、平成25年度時点で31.3%に過ぎないという調査結果であった(すべて実施したとしても、保育士が数年かけて勉強している内容には全く及ばないが)。

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最終更新:8/24(水) 5:00

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