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南仏にモダニズム建築の野外テーマパークができました!

Casa BRUTUS.com 8/24(水) 14:00配信

南仏にオープンした野外公園〈フリッシュ・ド・レスカレット〉。プルーヴェの〈トロピカルハウス〉に出会える新名所です。

地中海を望む岩山を背にして、ジャン・プルーヴェの〈カメルーンのトロピカルハウス〉が夏の日を浴びて佇む。7月初旬、マルセイユにオープンした異色の建築パーク〈フリッシュ・ド ・レスカレット〉に、およそ半世紀ぶりとなる里帰りを果たしたのだ。

モダニズム建築とデザインの膨大なコレクションを持つ〈ギャラリー54〉のエリック・トゥシャローム氏の長年の夢が実現した、この建築と彫刻の野外パーク。鉛精製工場跡地を利用した3ヘクタールもの広大な敷地はカランク国立公園の一部であるため、新しい建築を建てられない。が、プレハブ=移動可能な軽量建築ならOK。つまり、アフリカ各地で廃屋になりかかっていた〈トロピカルハウス〉を救出してきたトゥシャローム氏にとって絶好の場所だった。

〈トロピカルハウス〉とは、熱帯地域での建設を想定し、プルーヴェが設計・開発、自社で建築部品を製作したプレハブ住居。1950年代当時の仏植民地、中部アフリカで建設計画を進める仏政府の依頼で、数種のモデルを開発した。注目すべきは当時の新築材、軽量アルミニウムに着目したプルーヴェが数々の秀逸な築材パネルを発明したこと。大量生産を目指し、外部投資を導入して挑むが、結果的にそれがあだとなり、プルーヴェは自社を追われることになる……。

〈カメルーンのトロピカルハウス〉は開発後期、58年に生まれたモデル。そのときすでにアトリエを失っていたプルーヴェは、エンジニアとして設計とプロトタイプの制作を担っている。62年にはプロトをもとに、細部を改変してコストを下げた《LWDモデル》が現地で大量生産された。つまり、カメルーンモデルにおいては、プルーヴェの考えを純粋に踏襲したオリジナルは、マルセイユに戻ってきたプロトタイプだけなのだ。

今夏は、乾燥した灼熱の南仏で訪問者を迎える〈カメルーンのトロピカルハウス〉。しかし本来は、高温多湿地域のために開発したモデル。雨を避けつつ、外気を取り込むアルミのサンシャッターは、プルーヴェが試行錯誤の末にたどり着いた形。木製のブラインドは、 中部アフリカで“ナソ”と呼ばれる伝統の日よけにアルミ製のつまみをつけて角度調整できるよう改良したもの、と建築の細部を眺めるほどに、プルーヴェの情熱が伝わってくる。この夏、南仏へ旅するならぜひ訪れたい新名所だ。

photo_Olivier Bardina text_Chiyo Sagae editor_Yuka Uchida

最終更新:8/24(水) 14:00

Casa BRUTUS.com

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