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タイで日本式スナックが開業! 経営者は33歳の日本人女性

HARBOR BUSINESS Online 8/24(水) 16:20配信

 バンコクは日本料理のほか世界各国の料理が楽しめ、食通も唸らせる魅惑的な都市である。和食店も多いのはもちろん、日本人経営のイタリアンやフレンチもあり、日本人の味覚に合った味つけになっているので、本場出身者の絶賛も受けつつ、日本人が集まるという店も多い。

 そんな中において、ナイトエンタテインメントのひとつとしてバーを経営する日本人も多数いる。日本人が集まり、年齢や社会的な地位に関係なく交流できる場として、10年前のバンコクとはまったく違うナイトシーンを提供している。

 しかし、不思議とバーの経営は男性が多く、日本人女性が先頭に立つ夜の店は数店に限られている。そんな中に、東京の豊島区の東長崎駅そばでスナックを経営していた女性が、今年7月に同様のスタイルを踏襲したスナック「Snack&Barちひろ バンコク店」をオープンさせた。オーナーはその名の通りちひろさん(33歳)である。

◆ゴールデン街のシステムを踏襲

「日本では29歳のときに居抜きで始めました。2年働いた経験のある新宿ゴールデン街のシステムを真似ています」

 バンコクではボトルさえ入れてしまえば350バーツ(約1100円)の氷セットで延々と飲める。バンコクはアルコール飲料の値段が高い。日本酒などは日タイ協定で輸入関税が0%まで下がっているものの、タイ国内の酒税は上がっており、販売価格は結局高くなってしまう。そのため、チャージ関係だけは日本とほぼ同じ料金でスタートさせた。バンコクも物価が上がってしまい、今やバンコクの和食店は東京より客単価が高くなっている傾向にある。日本とほぼ同じ料金というのは逆に良心的だと言えるほどだ。

 ちひろさんは岩手出身で、高校卒業後に服飾デザインの専門学校に入学するために上京した。卒業後は服飾関係の会社に就職したものの、紆余曲折を経て、昼は会社員、夜は新宿ゴールデン街でアルバイトという生活を送った。そして、東長崎の店の居抜きの話が舞い込んできた。

「長居すればするほど安くなるような料金設定にしました。お客さん同士で輪を広げていってもらえればと思っています」

◆タイ語学習のつもりで来タイしたが……

 バンコク店は日本人在住者が多いトンロー地区にある。独立した店舗ではなく、人気の居酒屋「トンロー横丁」の2階に間借りする形で営業を始めた。店内面積は小さく、数名が座ればカウンターはいっぱいだ。なぜ彼女はここで開業するに至ったのか。

「2015年9月に日本の店は人に任せて、タイ語を勉強するために移住しました。本当はタイ語をまずはしっかり学びたかったのですが、飽きてしまって……」

 アグレッシブな性格のちひろさんはタイ語学習だけでは日々が単調になってしまい、タイで知り合った飲食店経営者たちのアドバイスや誘いに乗って、まずは店を始めてしまおうと考えた。そのときに一番に声をかけてくれたのが「トンロー横丁」の経営者だった。内装から仕入れ先まで具体的にアドバイスを受ける。タイで働くに必要な労働許可証などもその経営者が対応してくれた。

「ただ、やっぱりタイなんですよね。内装も約束の日程を大幅にズレ込むんです。無理矢理7月1日にオープンさせましたが、実は未完成の状態だったんです」

 タイでは内装業者の仕事が遅いことは最早常識だ。そのため、期限が過ぎると1日ごとにペナルティーを発生させたりするなどの防衛策が必要になる。ちひろさんの店では日本人の内装業者に頼んだが、結局職人はタイ人なので遅れてしまった。タイでビジネスをするにはこのように日本では考えられないストレスを感じることもある。

 しかし、そんなタイだが、日本で店を開いていたころの「悩み」を解決してくれた場所でもあるという。

◆タイが解決してくれた「悩み」

 タトゥー好きで一見イケイケな雰囲気もあるちひろさんだが、日本で店を開いたころは店の経営や接客の仕方に悩む日々だったという。しかし、それを解決してくれたのがタイだった。

「元々はネパールが好きでタイに初めて来たのが2013年3月でした。初日は言葉もわからない、街は汚い、ご飯は辛いしでもう来ないだろうなと思ってましたけど、カオサン通りに行ったり寺を見たり象に乗ったりしてなんとなくタイの空気に慣れてきた3日目くらいにある出来事が起こりました。チャオプラヤ河沿いの飲食店で店員が赤ちゃんを抱えていて、それを見せてチップを寄こせと言ってきたんです。断ったら、ものすごく怒られて、食べかけの料理も全部取り上げられ、会計させられました」

 普通なら「最悪だ!」と思うところ、そんな接客でいいのか!とちひろさんは蒙が啓かれた思いになった。そのときからバーの経営が楽しくなり、タイも好きになった。

 タイはナイトエンタテインメントを取り巻く環境が変化しやすい。国のトップ、あるいは管轄の警察署長が交代になるだけでそれまで問題なかったルールが反故にされる。そんな苦労がこの先確実にあり、ちひろさんもこれからが勝負になるだろう。しかし、持ち前の人懐っこい笑顔で人脈も広げており、バンコクでは珍しい日本人女性経営のバーはおもしろくなっていきそうである。

<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NaturalNENEAM)>

取材協力:Snack&Barちひろ バンコク店

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/24(水) 16:20

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