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「ダイバーシティ&インクルージョン」はなぜ必要か?(イケア 泉川氏×グーグル 山地氏×野村證券 東氏×慶応 小杉氏)【HRC2016春】

日本の人事部 8/25(木) 7:30配信

最近、企業では、「ダイバーシティ」の取り組みを発展させ、いかに多様性を受容するかを考える「インクルージョン」の活動も見られるようになっている。本日は、早くから「ダイバーシティ&インクルージョン」に取り組むイケア・ジャパン、グーグル、野村證券の人事責任者が登壇。人事・人材開発の第一人者である慶応義塾大学大学院・小杉氏によるファシリテーションの下、議論が行われた。

この日のセッションは、小杉氏の挨拶から始まった。

「私はいろいろな会社とお付き合いしていますが、そこで感じるのは『ダイバーシティに取り組んでいます』と言う会社は多いけれど、手を付けたところで止まっている会社がほとんどではないかということです。会社の戦略そのもの、経営課題そのものという捉え方をしているところはまだ少ない。ダイバーシティ&インクルージョンが具体的にどう推進されているのか。三社にお聞きしたいと思います」

泉川氏によるプレゼンテーション:「Diversity & Inclusion」「ライフパズル」

最初にイケア・ジャパンの泉川氏が登壇した。「ライフパズル」は会社の社員に対する考え方を示したものだ。一人ひとりが自分らしくあり、その人生に関わるパズルを組み上げる主導権と責任も自分自身にある。

イケアは「家が世界でいちばん大切な場所」であり、「子供が世界でいちばん大切な存在」と考える。イケアのビジョンは「より快適な毎日を、より多くの方々に」だ。果たして、「オフィスは世界でいちばん大切な場所」なのか。ここで泉川氏は、男性社員の帰宅時間のデータを示す。

「スウェーデンで勤務する男性は、夜7時までにほとんどの人が帰宅。一方、日本で勤務する男性の帰宅は夜9時~10時です。ここに改善の余地があります」

イケアでは、日本初の店舗がオープンして7年目を迎えた2013年、働き方の見直しを行った。

「イケアが日本に根付く段階において、果たして自分たちは本当に人を信じて、いい形で動いているのか。より良くするにはどうしたらいいかとマネジメントや人事の中で話し合い、そこから三つの柱が生まれました」

その一つ目は「ダイバーシティ&インクルージョン」、多様な人材の受容と活用。二つ目は「セキュリティー」、長期的な関係構築への保障。そして三つ目が「イクオリティー」、平等な機会創出だ。そして「素晴らしい職場をすべてのコワーカー(co-worker:ともに働く人、社員)に」という思いを基に改善が行われた。

「このとき私たちが考えたことは二つありました。一つ目は、人の人生にはさまざまなことが起こるから、それに応えられるようにしたい。二つ目はワークライフバランス。オンとオフをしっかり持つことで、仕事で十分な力を発揮してもらう。その観点から、就業規則やガイドラインをすべて見直しました」

そのとき行われた改善の一つが、「同一労働・同一賃金」の実現だ。それまで雇用形態で決まっていた給与を、同じ職務に対して、同じ賃金を支払うようにした。また、パートタイマーの正社員化も実現。同じ職務に対しては、労働時間に関係なく、職務期待水準が同じということから、パートタイマーを短時間正社員化した。そして、働いている時間の長さに関わらず、すべてのコワーカーに同じ福利厚生を提供する。

また、キャリアと子育ての両立については、10年前に企業内託児所「ダーギス」をつくり、すでに取り組んでいる。

「この託児所には生後57日目から預けられます。この施設があることが、高い女性マネジャー比率にも貢献しています」

ただし、ダイバーシティばかりを追求しても、企業の生産性が向上しなければ、企業は立ち行かない。イケアが短い労働時間の中で、競争力を維持・増強するために心がけることが六つある。

「何事もシンプルに考える」「性別・国籍・年齢にこだわらない、多様なコワーカー構成にする」「一人ひとりが責任をもつ」「変化への柔軟さ」「一つの方法にこだわらないクリエイティビティ」「ゆとりと活力を持つ」だ。

最後に泉川氏は、「BE YOURSELF, YOUR UNIQUENESS MAKES IKEA BETTER! 自分らしくいること。あなたの独自性がよりよいイケアをつくる。私たちは、それがダイバーシティ&インクルージョンのベースだと思っています」と語り、プレゼンテーションを終えた。

終了後、小杉氏から質問があった。

「パートタイマーの短時間正社員化は、実現が難しいと考える会社が多いかもしれません。導入時にフルタイム勤務の方からクレームはなかったのですか」

泉川氏は次のように答えた。

「クレームはまったくありません。私たちはダイバーシティ&インクルージョンをベースに置き、一人ひとりが力を発揮することに注力しています。それによってビジネスの成長が生まれ、働く人はその恩恵を受けられる。制度を整える際、そういったビジョンを会社が持っているのだということを、コワーカーに伝えることに時間を費やしました。長期的な視野に立って、カルチャーを変えなくてはならない。その力を持つことが重要なのだと思います」

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最終更新:8/25(木) 7:30

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