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2020年に向けて、リオ五輪・開会式を振り返る

WIRED.jp 8/25(木) 7:31配信

過去10年ほどの間、夏期オリンピックの開会式は、1年の真ん中の見せ場として、真夏のブロックバスターとして、目がくらむような光景が大画面一杯に映し出され、思わず声をあげてしまうような大胆な演出が採用されてきた。

【リオを振り返る】美しい開会式の様子や、リオ閉会式での東京プレゼンテーション動画も。

2008年、中国の映画監督・張芸謀(チャン・イーモウ)は緻密な挑戦を行い、大勢の太鼓の集団や豪華なLEDの中国風絵巻、操り人形によるオペラで北京国家体育場を演出した。

4年後、アカデミー賞受賞監督のダニー・ボイルが、ロンドンのオリンピックスタジアムの開会式の演出を引き受けた。開会式には煙を吹き出す煙突や高く上がる五輪のほか、ビートルズの『サージェント・ペパーズ』のジャケットのように、イギリスのポップスターと仮装した有名人(ミスター・ビーン、J・K・ローリング、ジェームスボンドに扮したダニエル・クレイグなど)が大勢登場した。

ロンドンの開会式は、演劇と歴史を組み合わせ、そこに少しのスターの力も織り交ぜて、映画『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレス監督が演出した今年の開会式に対して(恐らく不当と言っていいくらいに)期待のハードルを高くした。

メイレレスとそのチームは、過去の開会式よりも低い予算で取り組んだにもかかわらず、ハイテクな演出とお金がかからずにできる工夫を組み合わせ、明るく強烈なイメージと壮麗な音楽、そしていくつかの社会的メッセージをもった、力に溢れた開会式を演出した。

開会式は、ジルベルト・ジルの1969年のヒット曲「Aquele Abraco」(That Embrace)に乗せて、リオの街のアスリートたちを空からとらえた映像が映し出されるところから始まった。サッカー選手やスケートボードの選手が街を散策し、カヤックや水泳の選手が浜辺で寛ぎ、ハンググライダーが森林の上を飛ぶ。ここから、シーンはマラカナン・スタジアムに移り、そこではキラキラと光る素材をもつパフォーマーたちが踊った。

ここから開会式は、メインテーマのひとつに、つまり「環境」に移って行った。デジタルで映し出された波がスタジアムのフロアを照らし、パフォーマーたちが巨大な(そしてとてもクールな)昆虫の絵を抱えて歩き回った。これはアマゾン川とそこで生まれる生命を表現していた。

そして、たとえそれがどれほど難しくとも、クリエーターたちがこの地域の歴史を扱うことに尻込みしなかったことは賞賛に値する。ブラジルの原住民の子孫がステージに上がり、数世紀もの間ブラジルという国をつくるために貢献した奴隷たちへ敬意を表した。

一連の出来事には開放感があり、オリンピックという国際的なイヴェントこそが提供できる肯定感があった。過去を精算し、すべての人でいまを祝福できる、そんな機会となった。

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最終更新:8/25(木) 7:31

WIRED.jp

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