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研究報告 「思想家タイプ」は運動不足に陥る傾向

Forbes JAPAN 8/25(木) 17:00配信

運動をしない多くの言い訳の中でも聞こえがいいのは、自分は「思想家」だから、というものだ。知性派の人は、体よりも頭を働かせることに時間を費やすというのが、古くからある固定概念だろう。そして新たな研究で、これを支持する結果が示された。「思想家」タイプの人は、少なくとも平日は、より体を動かさない傾向にあることが示唆されたのだ。



研究グループでは、参加者に対して有効性が広く認められている「認知欲求尺度」と呼ばれる検査を実施し、2つのグループに分類した。検査は、参加者に対して「私は問題に対して新たな解決法を考案する作業を含む課題を楽しいと感じる」などの声明に、どの程度合意するか回答を求め、これを基に問題解決や理解などの思考傾向の違いを測定するものだ。この結果をもとに、各30人の参加者グループを「思想家タイプ」と「非思想家」に分類。その後、一人ひとりに1週間、振動加速度計(活動計のようなもの)を装着するよう依頼し、相対的な活動率を測定した。

その結果(もう予想がついているだろうが)、「思想家タイプ」は「非思想家タイプ」よりも大幅に活動率が低かった。だがそれは平日の5日間だけで、週末の活動率については両者に大きな差はなかった。

留意すべきは、研究の参加者たちは学生だったということ(具体的にはフロリダ・ガルフコースト大学の学生)。そのため「思想家タイプ」の中でもその傾向が強かった学生は、平日5日間はより勉強に励み、週末になると息抜きに外出をして活動的になっていた可能性がある。一方で「非思想家タイプ」の学生は平日ずっと勉強し続けることに対する限界値がより低く、ジムに行くなど外出することがより多かった可能性がある。つまり勉強に対する姿勢が、検査結果に影響を及ぼしていた可能性があるのだ。

だがそうだとしても、2つのグループの根本的な性質は、一般の人に当てはめて考えることが可能だ。若い頃に身についた習慣は、年齢を重ねても変わらない傾向があるからだ。大学時代に猛勉強をしていた筋金入りの思想家タイプは、卒業後の人生においても、少なくともその名残りをとどめているはずだ(これは科学的な裏付けがある訳ではなく、単なる直感だが)。

この研究では、より賢い人の方が活動率が低い、という結果は示されていない。それは検査結果を基にした妥当な結論ではなく、知性と活動レベルには、相関関係は全くない(そうであって欲しいと考えている人には申し訳ないのだが)。

研究結果から導き出す価値のあるひとつの有益な留意点は、普段の生活でより頭を使う傾向の強い人は、座りっぱなしにならないように、より努力が必要である可能性があることだ。

どれだけ考えるのが好きでも、そしてどれだけ頭が良くても、体を動かさない生活が良くないことは科学的に明らかだ。特にデスクワークの仕事の人にとっては、健康増進のために、生活の中に定期的に運動を取り入れることは必須だ。

「結局のところ、より考えるタイプの人が活動率を高める上で役に立つ重要な要素は自覚だ」と、研究グループはつけ加えている。「自分がより活動率が低い傾向があるという自覚に加え、体を動かさないことに伴うコストを認識すれば、今よりも活動的な1日を過ごす方を選ぶかもしれない」

研究報告は、国際的な医学雑誌ジャーナル・オブ・ヘルス・サイコロジー(Journal of Health Psychology)に発表された。

David DiSalvo

最終更新:8/25(木) 17:00

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